コラム:チャートで見るナスダック指数、大幅下落の予兆も
Terence Gabriel
[ニューヨーク 24日 ロイター] - あるテクニカル市場分析が、ナスダック総合指数<.IXIC>が大幅下落の勢いにさらされやすくなっている可能性を示唆している。同指数は3月23日の安値以降に持ち直し、現状はS&P総合500種指数<.SPX>をしのいで回復している。
投資家はここ数週間、大手ハイテク株を買い進めてきた。アマゾン・ドット・コム、アルファベット傘下のグーグル、フェイスブックといった企業なら、業績に新型コロナウイルス感染対策の移動制限が比較的影響しないとみられ、コロナ後も好調だろうと踏んだからだ。
ナスダック総合指数は今月に過去最高値を更新し、現在の年初来上昇率は13%。S&P総合500種は年初来で約3%下落している。
多くの投資家は米株の回復に懐疑的だった。深刻な景気悪化や記録的な失業率、コロナ流行の第2波の懸念は、実体経済と株式バリュエーションに乖離を生んでいる。警察の暴行や人種差別への抗議デモや、近づきつつある米大統領選も、この乖離を強める材料だ。
ナスダック総合指数のテクニカルな短期分析と長期分析のいずれとも、こうした警戒がもっともかもしれないことを示唆する。
<弱気の乖離>
ナスダック総合指数の長期の月足チャートは、相対力指数(RSI)が勢いを失いつつあることを示している。RSIは相場がいかに速く、いかに大きく動いてきたかを計る指数だ。
RSIは上昇しているが、2018年以降のピークを依然として下回っている。ナスダック総合指数がこのまま行けば、今月の月間上昇率が過去最高になるかもしれないのにだ。
「弱気の乖離」と呼ばれるこうした出遅れは、ナスダック総合指数の新高値への勢いが次第に着実に弱まっていることを示す。
2013年当時を分析すると、こうした月間ベースの弱気の乖離が起きたあとに、ナスダック総合指数の大幅下落が3回、小幅な下落も多く起きている。
<短期的な買われ過ぎ>
しかしながら、下落が確実と言い切れるわけではない。短期チャート分析はトレンドが反転しているかもしれないタイミングをつかむ助けになり得るものだが、これによると状況は判然としない。
50日移動平均線は中期的トレンドを計るのに使われるが、ナスダック総合指数は現在、上昇中の50日移動平均より上にある。つまり、同指数が短期的には上昇を続ける可能性があることを示す。
しかし短期ベースでRSIを分析すると、結論が難しくなる。日足でのRSIは今月に入って、今年1月以降で最も「買われ過ぎ」の領域に入った。ナスダック総合指数の値上がりがあまりにも大きく、あまりにも速過ぎており、相場反転の機運が出ていることを示している。
実際、同指数は6月10日にそうした上昇を示した後(訂正)、次の3営業日で計6%下がった。だがその後に素早く持ち直し、再び過去最高値を付けた。
この回復が反落の恐れが消えたことを意味するものではない。RSIは上昇しているとはいえ、上昇ペースは鈍化しており、弱気の乖離が形成される可能性をかも出している。
そうした状況は、今年2月に同指数が最高値に到達する上昇局面でも発生した。昨年12月下旬には過去ほぼ3年で最も買われ過ぎを示す領域に入っていた。その後に幾度かは急落を演じたが、さらに約2カ月の間、勢いは弱まりながらも上昇を続け、最大では9%も上昇。そして新型コロナの暴落を迎えた。
(筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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