アングル:日経2万4000円の壁、PER14.5倍を意識 突破材料は円安か

アングル:日経2万4000円の壁、PER14.5倍を意識 突破材料は円安か
 2月7日、日経平均は2万4000円を目前に捉えながら跳ね返された。大台を前にした心理的な要因もあるが、予想PER(株価収益率)の14.5倍水準が意識されているとの指摘もある。写真は都内にある証券会社の株価ボード前で2015年2月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)
水野文也
[東京 7日 ロイター] - 日経平均<.N225>は2万4000円を目前に捉えながら跳ね返された。大台を前にした心理的な要因もあるが、予想PER(株価収益率)の14.5倍水準が意識されているとの指摘もある。企業業績の先行きが懸念される中、「壁」に近づくと利益確定売りが膨らみやすいためだ。節目を上抜けるためには一段の円安など業績上積み期待が高まる材料が必要だとみられている。
日経平均は3日の安値から1200円超の反発をみせたが、その間、企業業績予想が改善したわけではない。上昇したのはPERで、14倍から14.5倍程度まで高まってきている。
昨年12月以降、日経平均が目先の天井を形成した時点のPERをみると、12月17日(2万4066円12銭)が14.99倍、1月14日(2万4025円17銭)が14.53倍、同22日(2万4031円35銭)が14.59倍となっていた。
日経平均は6日、今年最大の上げ幅も記録したが、2万4000円までわずか4円63銭まで迫りながら押し戻された。岡三オンライン証券・チーフストラテジストの伊藤嘉洋氏は「2万4000円という心理的なフシ以上に、PER(株価収益率)14.5倍というレベルが意識されている」と指摘する。
伊藤氏によると、PER14.5倍の水準に達すると利益確定売りがかさむという。日経平均が「壁」を超えて上値を追うには先行きの収益向上が見通せるようになることが必要だ。
節目超えのポジティブ材料となる可能性があるのが円安だ。「円安が(1ドル)110円の壁を突破するなどさらに加速すれば、日経平均は2万4000円乗せから上値を追う可能性も出てくる」と、キャピタル・パートナーズ証券・チーフマーケットアナリストの倉持宏朗氏はみる。
6日に業績予想の上方修正を発表したトヨタ自動車<7203.T>は想定為替レートを1ドル107円から108円に修正した。トヨタは円安効果も上方修正の要因のひとつとして挙げていた。
しかし、懸念要因もある。新型肺炎による影響だ。決算発表で上方修正したソニー<6758.T>の十時裕樹・最高財務責任者(CFO)は決算会見で「今回の上方修正を打ち消す規模の大きな影響が出る可能性も否定できない」と述べている。
企業の多くは、新型コロナウイルスの影響を見通せておらず、業績見通しに織り込んでいない。円安が進んで日本株が上昇する環境が整っても、新型コロナウイルスの影響次第では、再び波乱相場が訪れる可能性もある。

編集:内田慎一

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab