アングル:新アイフォーン登場、スマホカメラの主戦場に異変

CEO Tim Cook presents the new iPhone 11 Pro at an Apple event at their headquarters in Cupertino
9月12日、米アップルが今週行った新型「iPhone(アイフォーン)」の発表会。そこに登場したマーケティング責任者のフィル・シラー氏は、新機能である「コンピューテーショナル・フォトグラフィー・マッドサイエンス」を絶賛した。写真は10日に米カリフォルニア州クパティーノのアップル本社で行われた発表会で新型アイフォーンを発表するティム・クックCEO(2019年 ロイター/Stephen Lam)
[12日 ロイター] - 米アップルが今週行った新型「iPhone(アイフォーン)」の発表会。そこに登場したマーケティング責任者のフィル・シラー氏は、新機能である「コンピューテーショナル・フォトグラフィー・マッドサイエンス」を絶賛した。
トリプルカメラ搭載のスマートフォンの新型「11」シリーズでは、シャッターを押す前に8種類の露出で事前撮影し、完璧な写真を生み出すことができる。それは新機能のお手柄だと語った。
「シャッターボタンを押すと1回の長い露出がかかり、その後わずか1秒間でニューラルエンジンが長い露出と短い露出の画像の融合を分析。2400万画素を総当たりして、その中から最高の1枚を抜き出し、ディテールおよびノイズ軽減の最適化を実現します」。シラー氏は「ディープ・フュージョン」と呼ばれる機能をこう説明した。
何年か前の新型アイフォーン発表会であれば、こうした「技術上の寄り道」的な話題の中心は、デザインを支えるアルミニウム加工技術だったかもしれない。しかし、今回はアップルきっての写真愛好家、シラー氏が、カスタムチップと人口知能(AI)ソフトを賞賛する場面となった。
スマホのカメラを巡る主戦場は今、カメラの内部へと移っている。写真の出来栄えを主に左右するのは、最先端のAIソフトと特殊なチップだ。
「スマホの売れ行きを左右するのは、カメラとディスプレー」とアナリストは語る。
「アイフォーン11プロ」には、3つのカメラが搭載された。この点では韓国のサムスン電子<005930.KS>と中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の旗艦モデルが先行している。
アイフォーンは、暗い場所で撮った写真の見栄えを良くする「夜間モード」機能の導入などでも両社製品に追いついた。
アップルは、カスタムチップによってライバルに差をつけようとしている。今回の発表会で幹部らは、搭載された新しいレンズの性能以上に新型チップ「A13バイオニック」の説明に、より長い時間を費やした。
このチップの特別な部分は、AIに特化した「ニューラルエンジン」と呼ばれ、厳しい照明環境下でも鮮明な画像の撮影を可能にする。
サムスン電子とファーウェイも、スマホ用のカスタムチップを設計しており、グーグルもスマホ「ピクセル」のカメラ機能を支えるチップ「ビジュアル・コア」を導入している。
調査会社IDCのライアン・リース氏によると、業界は今、カスタムチップとソフトを開発できる豊富な資金力を備えたメーカーだけが、カメラシステムに投資できるという「資金力ゲーム」の様相を呈している。
今では低価格機種ですら2つや3つのカメラは備えているが、画像が「素晴らしいか、それなりか」を決める上で多大な役割を果たすのが、チップとソフトだとリース氏は語った。

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