コラム:年末の新ゲーム機対決、分はソニーにあり

コラム:年末の新ゲーム機対決、分はソニーにあり
 ソニーと米マイクロソフトは共に新型ビデオゲーム機の導入を控えているが、戦いを制しそうなのはソニーだ。写真はソニーのロゴ。2017年11月、都内で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Robyn Mak
[香港 4日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソニー<6758.T>と米マイクロソフトは共に新型ビデオゲーム機の導入を控えているが、戦いを制しそうなのはソニーだ。ソニーの4─6月期決算は、ゲーム機部門の営業利益が前年同期比68%増の12億ドル(約1272億円)に膨らんだ。年末の新型ゲーム機「プレイステーション(PS)5」発売に向け、この勢いは持続しそうだ。
新型コロナウイルス危機により、同社の電子製品、半導体、その他製品ラインの売上高が落ち込む中でも、プレイステーション部門は予想を超える好調ぶりだった。6月最初の3日間で400万本余りと、過去最高本数を売り上げたPS用ソフト「The Last of Us Part II(ザ・ラスト・オブ・アス・パートII)」の大ヒットに支えられ、ソニー全体の営業利益は22億ドルと、リフィニティブが集計した予想平均を6割ほども上回った。
ソニーに復帰して7年目の吉田憲一郎・社長兼最高経営責任者(CEO)と、やはり発売7年目のPS4にとって、これは圧勝と言える。ジェフリーズのアナリストらによると、PS4の利用者は1億1000万人と、マイクロソフトの「XBox」の2倍以上に上る。両社は年末商戦に合わせて次世代ゲーム機を導入する予定で、吉田社長には成功再現の期待が寄せられている。
ソニーは好位置に付けている。新機種への買い替えを待つ既存ユーザーの数でマイクロソフトに勝る上、「The Last of Us Part II(ザ・ラスト・オブ・アス・パートIII)」などのPS専用ゲームの開発にも注力。これは任天堂<7974.T>が「マリオカート8」で成功した戦略をまねたものだ。
ソニーが先月、大ヒットゲーム「Fortnite(フォートナイト)」を開発したエピックゲームズに2億5000万ドルを投資したのを見れば、吉田社長がいかにコンテンツ強化を重視しているかが分かる。
エピックゲームズは中国のインターネット企業大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>が支援するゲーム開発企業だ。ブルームバーグによると、ソニーは中国のゲーム企業、楽遊科技(ルーヨウ・テクノロジーズ・ホールディングス)<1089.HK>への買収提案を検討している可能性もある。
ソニーの株価はPS5への期待を主因として、3月の底値から54%持ち直した。同社株は長らく、ゲーム事業に専念する任天堂といった同業他社に比べて割安に放置されていたが、そのディスカウント分が帳消しになった格好。Eikonのデータによると、利益予想に基づく株価収益率(PER)は現在、両社とも19倍前後で並んだ。マイクロソフトは年末の対決に備え始めるべきだろう。
●背景となるニュース
*ソニーが4日発表した4─6月期決算は、営業利益が前年同期比1%減の2280億円(21億5000万ドル)だった。リフィニティブがまとめたアナリスト10人の予想平均は1430億円。
*同社は2021年3月期の連結営業利益(米国基準)が前年比27%減の6200億円になると予想。これは4年ぶりの低水準だが、減益率は5月に予想した30%から縮小した。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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