アングル:来年の株式市場、投資家は米国外に注目か

アングル:来年の株式市場、投資家は米国外に注目か
 11月28日、米株式市場は過去最高値を更新し続け、S&P総合500種指数は年初から25%近く上昇している。写真はニューヨーク証券取引所で2015年8月撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 27日 ロイター] - 米株式市場は過去最高値を更新し続け、S&P総合500種指数は年初から25%近く上昇している。ただ投資家は来年、より魅力的なバリュエーションを求めて米国外の株式に目を向ける可能性が高い。
米投資信託協会(ICI)によると、9月初旬から資金流出超が続いていた世界の株式ファンドには過去2週間で82億ドルが流入した。一方、米株式ファンドからはここ2週間で100億ドル以上が流出した。
欧州の一部地域やアジアで経済ファンダメンタルズに改善の兆しが見られる一方で、米経済成長は鈍化しつつあるもようで、米国外の株式市場へ資金シフトがシフトしている。
世界の株式を対象とする代表的な株価指数MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)は既に、2018年1月に記録した過去最高値に迫っている。
だが、過去10年のほとんどの期間において米国株の上げに追いついていなかったため、米国以外の株式市場は、そのバリュエーションの低さから今後1年、米国株をアウトパフォームする機会があると運用担当者やアナリストは見込んでいる。
エバーモア・グローバル・アドバイザーズのデービッド・マーカス最高投資責任者(CIO)は「バリュエーションがリターンのけん引役になりつつある」と述べ、ベルギーに拠点を置く医療検査機器メーカーのファグロンやフランスのメディア大手ボロールなど、欧州株に資金をシフトしていると説明した。
リフィニティブのデータによると、STOXX欧州600種指数の予想株価収益率は15.4倍。一方、S&P総合500の19.3倍。
Federated International Small-Mid Companyファンドのポートフォリオ・マネジャー、トーマス・バンクス氏は「これまでの米国株の高いバリュエーションの一部は、米経済成長率が(他国よりも)ずっと速いペースだったことに正当化されている。ただ、今後貿易協定が発表されたり、友好的なブレグジット解決策が出たりすれば、成長率の差は収束に向かう可能性がある」と述べた。
同氏は、 ロンドン証券取引所(LSE)グループや、スウェーデンに拠点を置くカジノゲーム運営会社、エボリューション・ゲーミング・グループABに対して引き続き強気という。両社は年初から50%上昇している。
米商務省が発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増と、速報値の1.9%増から上方改定された。成長率は昨年の2.9%から確実に鈍化している。第2・四半期の伸びは2%止まりだったほか、今年前半も2.6%と、トランプ政権が目標に掲げる3%に届いていない。[nL4N2873QM]
一方、欧州連合(EU)の欧州委員会は、ユーロ圏成長率について、2018年の4年ぶり低水準から引き続き低下するとの市場の見方に反して、2020年にわたり年率1.2%成長すると予想している。
Davis Internationalファンドのポートフォリオ・マネジャー、ダントン・ゴエイ氏は、バリュエーションがより魅力的なことから、インドや中国の内需の恩恵を受けることが見込まれるアジアの株式や多国籍企業に積極的に投資していると説明した。
ネットサービス大手騰訊控股(テンセント・ホールディングス)<0700.HK>など収益を貿易にさほど依存していない中国企業や、利益追求型の教育関連企業、ニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループなどに対して強気だとしている。
「これらの企業への貿易戦争の影響は非常に限定的だが、マクロ面での懸念からバリュエーションは大きく下がっている。非常に堅調な事業があり、バリュエーションがそれと無関係な理由で下がっているとしたら、恐らく良い買い機会だ」述べた。
(David.Randall記者)

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