コラム:TikTok巡る大混乱、辞任するトップの適時選択

コラム:TikTok巡る大混乱、辞任するトップの適時選択
8月27日、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の動画投稿アプリ運営「TikTok(ティックトック)」にとっては、タイミング(適時選択)が全てだ。写真はTikTokのロゴ。1月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic)
Jennifer Saba
[ニューヨーク 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下の動画投稿アプリ運営「TikTok(ティックトック)」にとっては、タイミング(適時選択)が全てだ。最高経営責任者(CEO)のケビン・メイヤー氏は、CEOの座をわずか3カ月で去ることを決めた。ティックトックが事業を分割して一部を売却するか、さもなくば米国で取引禁止になるかの事態に直面していることを考えると、メイヤー氏の動きは必然だった。ただ、ティックトックの買い手候補からすると、同氏が残ってくれたなら、彼の手助けを活用できたかもしれないが。
トランプ政権がティックトックに対して米国事業の迅速な売却を要求し、そうしないとアプリを禁止すると通告して以来、米中両国の緊張は高まり、同社はその狭間でほんろうされている。今週に入るとティックトックが、トランプ大統領のアプリ禁止命令は違法だとして米国で提訴する動きも見られた。契約した内容以上の厄介な任務だとメイヤー氏が主張しても、それを責めるのは難しい。
一方でメイヤー氏にとってこれからは、自分ができる仕事が、契約していたはずの内容に満たなくなってくるところだった。ティックトックの世界事業が分割されようとしているからだ。バイトダンス創業者兼CEOの張一鳴氏は27日に従業員向けのメモで、米国と、既にアプリが禁止されているインドでの解決策を見つけ出す作業を、早急に進めていると説明した。少なくとも米国事業に関しては、マイクロソフトとオラクルなどが買い手候補に浮上している。
新しいオーナー会社が決まれば、普通は自らトップを選ぶのが普通なので、いずれにせよメイヤー氏は居場所を失った可能性がある。
それでもまだティックトックには、かじ取りして乗り切っていかなければならない政治的な余波はあるだろうし、ソフトウエアやブランドの再構築の作業もあるだろう。例えばティックトックの米国事業の買い手がアプリのソースコード書き換えをしなければならなくなるような場合だ。
ウォルト・ディズニー重役出身のメイヤー氏がティックトックCEOとして働いたのはおよそ100日間にすぎなかった。それでもこの間の大混乱を踏まえると、職業人生丸ごと分の経験に匹敵するかもしれない。
●背景となるニュース
*動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は27日、ケビン・メイヤー最高経営責任者(CEO)が辞任を決めたと発表した。ウォルト・ディズニーの元重役だったメイヤー氏は、5月にティックトックに加わったばかりだった。米国ゼネラルマネジャーのバネッサ・パパス氏が後任となる。
*米政府は、ティックトック親会社の北京字節跳動科技(バイトダンス)に対して全ての米国事業売却を要求し、それができなければ取引を禁止すると通告している。ティックトックの買い手候補は、マイクロソフトやオラクルなどだ。
*ティックトックは24日、米国での取引禁止措置の差し止めを求め、トランプ政権を提訴した。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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