コラム:株上げたツイッターCEO、フェイスブックと好対照
Gina Chon
[サンフランシスコ 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米短文投稿サイト、ツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は今年、大いに株を上げた。政治広告を全面的に禁止し、香港の抗議活動への妨害阻止でフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOよりも踏み込んだほか、米議会公聴会への対応も驚くほど首尾が良かった。来年はザッカーバーグ氏と対照的なスタイルの経営トップとして英雄扱いされるだろう。
ドーシー氏は不器用だが話しぶりの穏やかな人物と受け止められており、政界の寵児にはならないだろう。しかし有害なコンテンツやプラットフォームの複雑な利用規約などを巡り、ライバルのソーシャルメディア企業トップに比べてより正面から議員と向き合ってきた。論点がずれていたザッカーバーグ氏や、技術的な説明が安定感を欠いたアルファベット/グーグルのスンダー・ピチャイCEOとの違いが際立っている。
ツイッターは政治広告など議論を呼んでいる問題への対応でも、ライバルよりも断固とした対応を取った。フェイスブックとグーグル傘下のユーチューブは政治広告の規制を巡り苦境に立たされているが、ドーシー氏は10月、ツイッターは政治広告をきっぱり全面禁止すると発表した。トランプ陣営はこの決定を批判したが他の共和党員から大きな反発はなく、民主党員からは支持が集まった。
ツイッターはほかにも政治的に受けのよい経営判断を下している。8月に中国政府を含む政府系メディアの広告禁止を決めたのだ。これに対し、フェイスブックは香港の抗議行動に関する中国国営・新華社の広告を流し、ユーチューブも国営メディアである中国環球電視網の番組を配信している。ピボタル・リサーチによると、フェイスブックは昨年、中国の広告主からの収入が50億ドルほどに達した。
一方、ドーシー氏が率いる決済サービス会社スクエアは、政治的な反発を受けることなく暗号資産(仮想通貨)関連の能力を高めている。これに対してフェイスブックは独自の仮想通貨リブラが世界中の規制当局から激しい反発を食らい、計画が棚上げになっている。
来年11月の米大統領選が近づくにつれてソーシャルネットワークに対する政治的な圧力は高まるだろう。ドーシー氏は、ツイッターとスクエアのCEOという職に加え、自社より巨大で妥協を強いられているライバルにとっての「目の上のこぶ」という、3つ目の重要な役回りを得たのかもしれない。
11月にアフリカを旅行したドーシー氏は、来年は3週間から6週間ほどをアフリカで過ごすことになるだろうとツイッターに投稿した。スクエアはアフリカに商機があるが、ツイッターは選挙戦を巡る混乱に巻き込まれたときにトップが不在なら打撃を被るかもしれない。とは言えドーシー氏にとってアフリカ行きは、果てしなく続く不快な選挙戦で一息つくひとつの方策ではある。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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