アングル:年末商戦の勝敗、見極めは感謝祭明けの値引き具合

アングル:米年末商戦の勝敗、注目は感謝祭明けの値引き具合
 米国では感謝祭開けの金曜日、いわゆるブラックフライデーに当たる29日から年末商戦が始まる。写真はニューヨーク五番街にある百貨店メイシーズ。2018年11月22日(2019年 ロイター/Stephanie Keith)
[サンフランシスコ 25日 ロイター] - 米国では感謝祭開けの金曜日、いわゆるブラックフライデーに当たる29日から年末商戦が始まる。株式市場で既に進行している勝ち組と負け組の選別は、商戦をきっかけに一層拍車が掛かるかもしれない。
これまで株価が堅調に推移しているのは、オンラインの品揃えや配送、受け取りサービスが充実しているディスカウント大手ターゲット、会員制倉庫型ストアのコストコ、家電量販のベスト・バイなどだ。低価格アパレルのロス・ストアーズ、TJXも買われている。
逆に衣料品大手ギャップ、女性下着ブランドのビクトリア・シークレットを展開するLブランズ、百貨店のメーシーズやコールズは、ショッピングモール依存からの脱却に苦戦し、株価が振るわない。
こうした中、小売業者にとって年末商戦を通じていつ、どの程度の規模で値下げを行うかを決める上で、感謝祭後の1週間が重大な意味を持つ可能性がある。
ムーディーズの小売りアナリスト、チャーリー・オシア氏は投資家に、感謝祭の休暇明けにモールを訪れて勝ち組と負け組を探る手掛かりにするとよい、と助言している。
オシア氏は「12月3日の値引きは必死さの表れだ。これは週末に(機会を)逃し、臨時に雇用したスタッフの整理を迫られ、商売の調子が落ちている、ということを意味する。逆の場合は、週末の販売が好調だったため、値引きを踏みとどまる余裕があることになる」と話した。
調査会社グローバルデータ・リテールのマネジングディレクタ-、ニール・サンダース氏は「順調な売れ行きが見込めない小売店は、価格帯が中途半端で、極端に高くないが、それほど値頃感もないところだ」と述べ、ギャップのほか、メーシーズ、JCペニーといった百貨店、アパレル小売りチェーンのエクスプレスを挙げた。
やはり百貨店のノードストロームとコールズ、さらにギャップは、アマゾン・ドット・コムとの熾烈な競争が響き、年初来の下落率が18―35%に達している。
またメーシーズは今年になって株価が半値となり、S&P500種の小売りセクターで最低のパフォーマンスだ。投資家がいかに業績改善を期待していないかが分かる。先月には株価収益率(PER)が一時5.6倍と、過去最低を記録した。
それでもS&Pの小売りセクター全体<.SPXRT>は年初来上昇率が20%と、S&P総合500種<.SPX>の24%と比べても遜色はない。

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