アングル:対中関税第4弾、懸念される米年末商戦への影響

アングル:対中関税第4弾、懸念される米年末商戦への影響
 6月17日、トランプ米大統領は中国製品に課す制裁関税「第4弾」の発動の可否の判断を間もなく下す見通しだ。写真はロサンゼルスのショッピングモールで2013年11月に撮影(2019年 ロイター/David McNew)
[ワシントン/ニューヨーク 17日 ロイター] - トランプ米大統領は中国製品に課す制裁関税「第4弾」の発動の可否の判断を間もなく下す見通しだ。検討対象にはハイテク製品やゲーム機、玩具、家電などが含まれる。米国の消費者に直接大きな影響が及び、今年の年末商戦の小売売上高が落ち込む恐れがある。
これまで米国が対中関税を発動した輸入品は主に、製造業に卸される製品が対象だった。そのため、米消費者への影響はさほど大きくなかった。
一方、今回検討されている関税の対象品目リストはほぼ全ての消費財が含まれており、スマートフォンやコンピューター、玩具、電子機器などを中心に年末商戦への影響が懸念される。
トランプ氏は中国との貿易戦争で強硬姿勢を強めており、中国から輸入するほぼ全ての製品に関税を課す用意があるとしている。
ロイターが国勢調査局データを基に分析したところによると、追加関税が検討されている品目は、中国への輸入依存度が特に高い製品分野だ。
例えば、携帯電話。2018年の中国からの輸入は430億ドルだったが、携帯電話の輸入全体の80%以上が中国製品だった。
スクーターやおもちゃの乳母車など、さまざまな玩具も対象となるが、これらの中国からの昨年の輸入は全体の約85%だった。
また、ビデオゲーム機輸入のうち、中国製は全体の98%。50億ドル以上のビデオゲーム機に関税が課されることが提案されている。
スマートウォッチ、スマートスピーカー、Bluetooth(ブルートゥース)オーディオ機器などの家電も対象。全米民生技術協会(CTA)推計によると、昨年のこの製品カテゴリーの中国からの輸入は最大179億ドルだった。
ウォルマートやターゲットなど、これらの製品を扱う企業約600社は先週、トランプ米大統領に書簡を送り、中国製品への関税は米国の企業や消費者にとって打撃になるとし、中国との貿易問題を早期に解決するよう訴えた。
書簡で各社は「広範囲にわたる関税は、中国に不公平な通商慣行を是正させるための有効な手段ではない。関税は中国ではなく、米企業が直接支払う税金だ」と指摘した。
米通商代表部(USTR)は17日、制裁関税「第4弾」の公聴会を始めた。
公聴会に参加した衣料品や家電などさまざまな業種の企業は、中国に代わる生産拠点を見つけるのは困難で、コスト増につながると訴えた。

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