アングル:ボーダフォン合弁の未納金問題、インドに打撃も

アングル:ボーダフォン・アイデアの未納金問題、印に打撃も
2月17日、インドの通信会社ボーダフォン・アイデアが連邦政府への未払い金を巡り、存亡の危機に立たされている。写真は2017年3月、ムンバイで行われたボーダフォンとアイデアの記者会見場で撮影(2020年 ロイター/Danish Siddiqui)
[ニューデリー 17日 ロイター] - インドの通信会社ボーダフォン・アイデアが連邦政府への未払い金を巡り、存亡の危機に立たされている。政府が同社の破綻を防げなければ、多国籍企業にとっての魅力の投資先というインドの評判に傷が付きかねない。
ボーダフォン・アイデアは英通信大手ボーダフォン・グループとインドの同アイデア・セルラーの合弁会社。インド最高裁は14日、複数の通信会社に計数十億ドルの政府への未納金を直ちに支払うよう命じたが、その中でボーダフォン・アイデアは最も財務状態が脆弱な企業だ。
同社は未払い金39億ドルを直ちに支払うのは不可能であり、政府が柔軟な支払い日程に合意しなければ自社の存続が危ぶまれると訴えた。
ボーダフォン・アイデアが直接雇用する従業員は1万3000人、銀行から受けている融資は約38億ドル。こうした規模の企業が破綻すれば、既に11年ぶりの低成長率に減速しているインド経済に衝撃が走りそうだ。
モティラル・オズワルの調査アナリスト、アリアスガル・シャキル氏は「これほど大規模なデフォルト(債務不履行)が起これば、インドの財政赤字は約40ベーシスポイント(bp)拡大しかねない」と話す。歳入が約1兆ルピー(140億1000万ドル)減少する計算だ。
もう一つの問題は、ボーダフォン・アイデアが通信業界から撤退すると、バーティ・エアテルとリライアンス・ジオという2社の寡占になってしまうことだ。そうなると、3月末までに予定される次世代通信網「5G」の競争入札への関心がそがれるリスクがある。
<解決策>
高官2人によると、政府は最高裁の命令に抵触しない解決策を模索中だ。財務省高官は「政府は業界で今起こっていることと、それによる投資環境への影響を懸念している」と話す。
別の関係筋によると、政府は次の法廷審問が予定される3月17日までに救済計画を策定しようと取り組んでいる。問題解決に向け、通信省が首相府と協議中だという。
通信業界の弁護士らによると、政府は裁判所に対し、企業に返済期間の延長を認めるよう働きかけることもできる。
ただ、一部のアナリストは、政府が必要な時期までに救済計画を取りまとめられるかどうかを疑問視している。
一方、ボーダフォン・アイデアは2月21日までに政府への未払い金のうち350億ルピー(4億9000万ドル)を支払うと発表した。
(Sankalp Phartiyal記者、Aftab Ahmed記者)

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