ブログ:香港の最前線に立つ牧師、デモ隊にも警官にも愛を伝える

ブログ:香港の最前線に立つ牧師、デモ隊にも警官にも愛を伝える
 ガスマスクをかぶり、デモ隊と警察が衝突する最前線に立つ香港の牧師、アラン・コーンさん(28歳、写真)。人々に神の愛を伝える方法が変わったと話す。11月2日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[香港 19日 ロイター] - 十字架と白い立て襟を身につけた香港の牧師、アラン・コーンさん(28歳)は最近、人々に神の愛を伝える方法が変わったと話す。暴動の続く街頭で、デモ参加者らが浴びた催涙ガスを生理食塩水で洗い流したり、負傷した警察官を助けたりする毎日だ。
香港は5カ月におよぶ反政府デモにより、ありとあらゆる立場の住民がしばしば暴動化する抗議活動とともに暮らす日々を余儀なくされている。コーンさんは、助けを必要とするすべての人に手当てや祈りを捧げている聖職者の1人だ。
コーンさんは英語と中国語で「牧師」と記された黒いヘルメットを着用し、ボランティア医師の集団に混じって人々の顔から催涙ガスを拭き取り、傷口を手当てする。
「人々に神の愛を伝えるのが私の使命です。皆さんと共にあろうとする牧師がいることを知ってもらいたいのです」
催涙ガスが放射される舗道を走り抜け、大きなプラスチックのボトルから道行く人やデモ参加者らに生理食塩水を噴きかける。
「ときには負傷して援助を求める警察官を助けることもあります」。デモ隊と対立する「白シャツ団」が鉄道駅を襲った7月、コーンさんのグループは怒った乗客を抑え、身を挺して警官らを守った。
コーンさんが牧師になったのは7年前。自身が司る香港北西部のクリスチャニティ・ミッションの信徒30人はほとんどが若者だ。
無造作な前髪が額を覆い、丸眼鏡をかけたコーンさんの見掛けは少年ぽいが、デモを支える決意は固く、参加者らの手を握って短い祈りを捧げる。
「私は、ただ教会にこもって慈悲や正義、道徳について語り、前線で起こっていることに目を向けない人間ではありません。そんなことはしたくない。前線で絆を示し、必要とされれば人々の中に入りたいのです」
コーンさんは、デモから学んだ教訓を説教に取り入れた。教会で最近行われた集会では、目を見開き、耳を傾ける制服姿の子供らを前に、こう語りかけた。「自分とは無関係だと思ってはいけません。あなたがた一人一人が香港と世界の将来なのです。全員に関わることなのです」
(文:Karishma Singh、写真:Kim Kyung-Hoon)

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