建物の土台を礎石という。「この石の、どこに柱を立てたらいいか考えてみぃ」。法隆寺の宮大工の家に生まれた西岡常一さんは、幼いころから祖父に職人の技を仕込まれた。平たい真ん中に立てたら安定して見栄えもいい。西岡少年はそう考えた◆しかし、祖父の答えは違っていた。石の重心は真ん中にあるわけではない。