一昨年の2月、高校受験を終えた小林宙(そら)くんは都内の自宅近くの税務署に「開業届」を出し、個人事業主になった。全国から集めた伝統野菜のタネを流通させる会社を立ち上げたのである◆タネは空気のような存在だと宙くんはいう。「ある」のが当たり前で、失った瞬間ありがたみがわかる、というか死ぬ。