緊急事態宣言後に羽田からの便が到着した佐賀空港到着ロビー。降りてくる客はまばらで、佐賀県職員が手指の消毒を呼び掛けた=7日午後6時25分ごろ、佐賀空港

 「帰りたくて帰ってきたわけじゃない」―。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で、終息がますます見通せなくなった7日、関東や関西などの都市部から帰宅した人たちは、複雑な胸中をにじませた。

 県内唯一の空の玄関口である佐賀市川副町の佐賀空港。到着ロビーに現れた搭乗客はマスク姿が目立ったが、午後の羽田空港からの到着便はまばらだった。

 「やっぱり佐賀の方が安心できる」。神奈川県内の大学に4月に入学したばかりの男子学生(18)は、親に促され杵島郡内にある実家に戻ってきた。3月下旬から大学の寮に住むようになり、運動部の練習に参加したが、数日後には活動中止。大学も休校になったという。「実家ではできるだけ外出しないようにしたい」と話した。

 千葉県の男性(47)は、法事で福岡県柳川市の実家に帰省した。仕事はテレワークができないため、2、3日滞在した後に戻るという。千葉が緊急事態宣言の対象地域になっていることに危機感を抱きつつ「自分も含めて一人一人が気を付けないと」。

 関西圏内の私立大に通う佐賀市の男子学生(19)は、生活している寮が3日で閉鎖となり、数日前に実家への帰省を余儀なくされた。閉鎖の連絡があったのは3月31日。「実家には祖母もいるが、自分が知らないうちにウイルスに感染していて、家族にうつさないか心配になるときがある」。目に見えぬコロナ禍への恐怖を募らせた。