譲渡が決まりかけた子猫 血便が止まらず辞退され、「我が子」に

子猫時代のふくくん
子猫時代のふくくん

 兄弟と一緒に道ばたに捨てられていた子猫。譲渡先が決まりかけたが、原因不明の血便がなかなか止まらず、辞退されてしまった。結局、保護主のもとで「我が子」として飼われることになった。

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道に捨てられていた子猫たち

 2018年4月、大阪府内に住む奥内さんは、病院の帰り、いつもは通らない道を自転車で走っていた。途中、小さな箱が落ちていた。気付いて自転車を停めると、段ボール箱の中には4匹の子猫が入っていた。箱の中にはキャットフードも無造作に入れられており、明らかに誰かに捨てられたようだった。

 子猫たちはまだ産毛で、歯も少し生えていた。生後1カ月半くらい。奥内さんは子猫たちを保護して、猫用のミルクと離乳食を与えて育てた。だが、すでに家には6匹の猫がいた。自分で引き取るのには限界があり、4匹とも譲渡先を探すつもりだった。

元気いっぱい「遊ぼう」とおねだり
元気いっぱい「遊ぼう」とおねだり

 奥内さんは、インスタグラムで譲渡先を募ると、そのつながりで4匹とも譲渡できることになった。1匹は親戚に、もう1匹は信頼できる獣医師の知り合いに、残る2匹はインスタを見て応募してきた人に譲渡することになった。

原因不明の血便

 一緒に譲渡されるはずの2匹のうちの1匹、「ふくくん」は、あまりごはんを食べない子で、以前はよく血便をしていた。

「5月末、滋賀県の人に譲渡するため、連れて行くことになっていた朝、また血便をしたんです。それでも、あちらで病院に連れて行ってくれるというので譲渡しました。3匹の保護猫を飼っている方で、名前も考えて、ベッドも用意してくれていたんです」

 ふくくんは滋賀県の動物病院に連れて行かれ、痔ではないかと言われたという。だが、奥内さんのかかりつけの病院では痔ではないと診断されていた。

ばんざい!のポーズだよ
ばんざい!のポーズだよ

 奥内さんは心配になって、もう一度、かかりつけの病院で診てもらいたいと申し出た。もともとかかっていた病院に連れて行ったが、原因はやはりはっきりしなかった。

 命に別状はないようだが、血便は完全には止まらない。譲渡先から「ふくくんの様子はどうですか」と連絡があり、心配だから様子を見たいなどと言っているうちに、7月になっていた。

 そして、譲渡先から降りたいと言ってきた。そこで奥内さんは、ふくくんを我が子として育てることを決めた。元気は元気なのだが、その後もごはんを食べると血便が出ることもあった。

「ふくは先住猫と一緒のケージで寝たりして、仲が良くて、引き離すのが、かわいそうだとも思っていたんです。いまは他の猫と一緒に遊んで元気に暮らしています」

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渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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