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意外なペアも! 実は同郷の選手たち(スペイン編)

2020.04.28

 一般社会と同様、サッカー界でも実は同郷だったという選手が存在する。本稿では、スペイン生まれの6選手(3ペア)をピックアップ。日本人選手が拠点を置くあの街からも、我々がよく知るあの2選手が輩出されていた。

写真=Getty Images

 

ジョルディ・アルバ×アダマ・トラオレ
(ルスピタレート・ダ・リュブラガート出身)


 
 体格や利き足、生まれた年(J・アルバは1989年、トラオレは1996年)も異なる2人だが、2つの共通点を持つ。ひとつはバルセロナの下部組織出身であること。もう一つが同じ街の出身ということだ。

 ルスピタレート・ダ・リュブラガート。バルセロナに次いでカタルーニャ州で2番目の人口を有するこの街で2人は生まれた。今シーズン序盤、バルセロナのU-19チームで監督を務めた元スペイン代表GKビクトル・バルデス氏も同郷である。

 世代が異なるJ・アルバとトラオレだが、バルセロナでチームメイトだった時期もある。J・アルバは2012年夏にバレンシアからバルセロナに“復帰”。その翌年、トラオレがトップチームデビューを果たしたのだ。しかし、ピッチ上で共演する機会はなく、トラオレは2015年夏にアストン・ヴィラへ移籍。現在はウルヴァーハンプトンで活躍している。

 ただ、初共演のチャンスはこれから訪れるかもしれない。トラオレは昨年、両親の祖国マリではなく、スペインの代表選手としてプレーすることを選択。メンバーにも召集された(その後、負傷したため辞退している)。1年延期が決まったEUROで同時出場を果たす可能性は十分にあるだろう。なにせスペイン代表の指揮官はルイス・エンリケ。J・アルバとトラオレは、バルセロナで監督を務めた時の教え子たちだからだ。
 

ミケル・オヤルサバル×マルケル・スサエタ
(エイバル出身)


 
 日本代表MF乾貴士が所属するエイバルを出身地とするのが、レアル・ソシエダのオヤルサバルと、2019シーズン途中にアスレティック・ビルバオからガンバ大阪に加入したスサエタ(現在はメルボルン・シティに所属)だ。

 エイバルは人口3万人足らずの街。リーガ・エスパニョーラに所属する20チームのうち、ホームタウンの人口が最も少ない(ちなみに、スタジアム収容人数もリーグ最小)。クラブ史上初の1部昇格を決めたのも2013-14シーズンと最近であるため、地元出身の有望選手は若くしてバスク州の2大クラブ、アスレティック・ビルバオかレアル・ソシエダに引き抜かれる運命にあった。オヤルサバルとスサエタは、そうしてプロデビューを果たした“成功例”である。

 とはいっても、故郷への想いは特別だ。特にオヤルサバルは、14歳でレアル・ソシエダに引き抜かれるまでエイバルの下部組織に在籍し、今も同クラブのソシオである。奇しくも2013-14シーズンはレアル・ソシエダからエイバルのU-19チームにレンタル移籍をしていた時期で、トップチームの1部昇格決定の瞬間をスタジアムで目の当たりにした。その後も試合観戦に訪れるなど、生粋のエイバルサポーターなのだ。

 現在はレアル・ソシエダで“背番号10”を背負い、スペイン代表の次代を担う選手と評される。噂になっている海外移籍が実現すれば、エイバルと対戦することも、エイバルの試合を観戦に訪れる機会も減るだろう。ただ、彼らが1部に定着している限り、オヤルサバルが古巣のユニフォームを着てピッチに立つ可能性はゼロではない。“その日”をファンも心待ちにしているはずだ。
 

ヘスス・ナバス×ファビアン・ルイス
(ロス・パラシオス・イ・ビジャフランカ出身)


 
 スペイン南部アンダルシア州の州都セビージャ。そこから約20キロ南にあるロス・パラシオス・イ・ビジャフランカは、人口4万人弱の小さな街である。スペイン人の間でもそれほど知られていないその場所から、現役のスペイン代表選手が2人も輩出されているのだから“奇跡”と言えるだろう。

 J・ナバスとF・ルイスは、かつてセビージャとベティスのダービーマッチで敵同士として対戦したこともある。それが今や代表のチームメイトだ。ただ、彼らの“出会い”は10年前に遡る。

 2010年夏、スペイン代表は南アフリカワールドカップで初の世界一に輝いた。J・ナバスは世界王者の一員として故郷に凱旋。市庁舎で行われた優勝セレモニーで、ヒーローを一目見ようと駆けつけた住民の一人がF・ルイスだった。「忘れるもんか。僕は14歳で、最前列で見ていたんだ」。彼は10年前をそう振り返っている。

 “先輩”の活躍は大きな刺激になったのだろう。F・ルイスも昨年、偉業を成し遂げた。U-21欧州選手権でスペイン代表として優勝を達成。4試合に出場して2ゴール3アシストを記録し、大会MVPに輝いている。10年前ほど盛大ではなかったものの、地元では優勝セレモニーが開かれ、F・ルイスも喜びのスピーチを披露した。

 そんな彼には、この街ならではの“ご褒美”が贈られた。自身の体重と同じ重さ(77.7キロ)のトマトである。トマトは地元の名産品であり、10年前にはJ・ナバスも受け取った(EURO2012優勝時もトマトが贈呈されている)。もちろん、来年に延期となったEUROで優勝すれば、2人分のトマトが贈られることになるだろう。その重さは140キロをゆうに超えるはずだ。
 
(記事/Footmedia)

By Footmedia

「フットボール」と「メディア」ふたつの要素を併せ持つプロフェッショナル集団を目指し集まったグループ。

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