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岩瀬、福浦、阿部が大記録達成へ!チーム一筋「フランチャイズプレーヤー」たちの挑戦

2018 8/17 07:00青木スラッガー
野球ヘルメット,ⒸShutterstock.com
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球界最高の鉄腕 中日岩瀬が挑むプロ野球初の「1000登板」

後半戦がスタートし、全体の100試合ほどを消化して、平成最後になるプロ野球の試合も残り少なくなってきた。両リーグともに混戦で、最後まで順位争いに目が離せないが、達成が期待される個人記録にも注目したい。8月に入り、3人のベテラン選手が大記録へカウントダウンを迎えている。

プロ野球史上初の快挙に挑んでいるのは、中日の岩瀬仁紀だ。プロ20年目、オフに44歳となる球界現役最年長プレーヤーは、現時点(2018年8月13日現在)で通算988登板。昨シーズンに、米田哲也が過去達成した記録、949登板を抜き、すでに通算登板数トップに立つが、「1000」の大台も目前に迫ってきた。

入団から15年連続50試合以上登板と、30代終わりまでほとんど離脱なく、フルで投げ続けた岩瀬。そんな球界最高の「鉄腕」も、さすがに「勤続」疲労か、40歳を過ぎてからは故障に苦しんだ。しかし昨シーズンは4年ぶりに50登板を達成。見事なV字回復を遂げ、今シーズンも現時点でチーム左腕トップの34登板と変わらぬ鉄腕ぶりを発揮している。

8月3日の巨人戦では9回、ルーキーの鈴木博志が同点に追いつかれたところで緊急登板。ピンチを切り抜け、その裏に味方打線が逆転し、今シーズン初勝利を挙げた。ドラ1入団の鈴木は次世代のクローザーとして期待されているが、前代クローザーの存在もまだまだ欠かせない。

「登板」は、「セーブ」や「勝利」と違い、例え打たれて負けても、試合に出れば数字が伸びていく記録である。だがチームに勝利をもたらせない投手に登板の機会はない。岩瀬は決して「記録のため」にではなく、「チームのため」に投げ続けた。その結果として、プロ野球選手初の1000登板投手となりそうだ。

幕張の安打製造機「福メーター」がいよいよカウントダウン!

岩瀬は通算250セーブを達成したことで、2010年に名球会入りを果たしている。今シーズンはソフトバンクの内川聖一が序盤に通算2000安打を達成したが、次に名球会入りすることになりそうなのが、ロッテの福浦和也だ。

昨シーズンまでロッテ一筋24年で、通算1962安打を積み重ねた「幕張の安打製造機」。25年目の今シーズンはここまで26安打をマークし、通算1988安打としている。

金字塔へのカウントダウンを「12」とした8月10日オリックス戦。7回に代打で貴重なタイムリーを放った。この1本は6回まで無失点投球を続けていた相手投手・西勇輝から、この試合唯一となる得点をたたき出した。

序盤は疲労で、一時二軍調整になるなど、なかなか安打が出ない時期もあったが、7月は10安打・月間打率.333と猛チャージ。22日オリックス戦では決勝タイムリーを放ち、2年ぶりに本拠地のお立ち台に上がった。気温の上昇とともに頼もしいベテランが調子を上げてきた。

ZOZOマリンスタジアムでは、福浦の安打数をカウントする「福メーター」がバックネット裏に7月末から登場している。「福メーター」を更新する特設サイトもオープン。千葉移転後初の2000安打プレーヤー誕生へ、球団の準備は万端だ。

昨シーズン2000安打の阿部、次は過去18人達成「400本塁打」へ

昨シーズン、通算2000安打を達成した巨人の阿部慎之助は、今シーズンも更なる偉業が控えている。歴代18名しか到達していない通算400本塁打だ。現時点で、阿部は現役最多となる通算394本塁打としており、シーズン中の達成が現実味を帯びてきた。

阿部は今シーズンここまで6本塁打。岡本和真が一塁手として大ブレイクし、スタメンは次世代の主砲へ譲る形となっている。しかし、8月8日阪神戦で約2か月ぶりにスタメン出場すると、1打席目にいきなりの先制スリーラン。久々の一発でチームに勝利を呼び込んだ。

今シーズンの本塁打6本は、いずれもスタメン出場で放ったものだ。メインは代打の切り札として、終盤の一打席で存在感を放ってきた。いかに得点圏の走者をホームに返せるかを求められるこの役割で、本塁打量産は望めない。400本塁打達成には、スタメン機会の増加が鍵となる。

阿部はスリーランを放った翌日もスタメン起用され、この試合も3安打1打点と気を吐いた。スタメン出場増加のチャンスを迎えており、ここが正念場となりそうだ。

偉業達成へのカウントダウンに入った彼ら3人は、選手としてある部分で共通する。いずれもチームの最年長選手で、生え抜きでここまでキャリアを重ねてきた「フランチャイズプレーヤー」だ。入団したときから応援してきたファンには、達成の喜びは格別だろう。平成最後の記録達成者として歴史に名が残ることを期待したい。