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井上晴哉とバルガス 巨漢の大砲がロッテの野球を変えるか

2019 1/15 11:00浜田哲男
井上晴哉,
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ⒸYoshihiro KOIKE

井上晴哉が待望のブレイク

井口資仁新監督を迎え、再起を図った2018年シーズンのロッテ。走る野球を前面に押し出し、前半戦は台風の目になりかけたが、後半戦で失速。最終的にホームで14連敗を喫するなど、最下位の楽天と1ゲーム差の5位に終わった。

そんな中でも収穫はあった。これまでロッテファンが待望していた井上晴哉のブレイクだ。これまでは春先だけ活躍し、以降は2軍暮らしというパターンが定着してしまっていたが、昨季は井口監督がほとんどの試合で井上を4番に起用。133試合に出場して、打率.292、24本塁打、99打点という堂々たる成績を残した。

特に7月は、月間打率.400、7本塁打、23打点と大暴れし、自身初となる月間MVPを獲得。プロ入りしてこれまでの4シーズンでわずか4本塁打だった男が一気に花開いた。得点圏安打50本は、浅村栄斗に次ぐリーグ2位。得点圏打率も.342とハイアベレージを残し、リーグ5位に入った。

井上晴哉成績表

ⒸSPAIA

得点圏安打数表

ⒸSPAIA

ここ数年、打線の核となる選手が固定できず、外国人頼みだったロッテ。しかし、待望の和製大砲の登場で、2019年シーズン以降の打線を考える際に4番・井上とすんなりと決めることができるのはとても大きい。

もう一人の大砲・バルガスの加入

その井上とクリーンナップを形成するだろう、新外国人の加入が決まっている。プエルトリコ出身の内野手、ケニス・バルガスだ。右投両打の一塁手であり、196cm・133kgという巨漢。メジャーリーグのツインズで4年間プレーし、通算236試合に出場。打率.252、35本塁打の成績を残した。

2018年シーズンは3Aで130試合に出場。打率.240、21本塁打、73打点を記録。さらに、シーズン後に参加していたプエルトリコのウインターリーグでは、打率.376(リーグ1位)、6本塁打(同1位)で2冠、打点も20(同4位)、OPS1.140(同1位)と躍動した。

昨季、ロッテが放った本塁打78本は12球団最低。一方、チーム盗塁数124個は、12球団で西武に次いで2位だが、いくら足を使った野球でかき回すと言っても限界があり、得点を奪うための効率を考えれば、一発が欲しい場面は多々ある。

昨季のロッテは、僅差で競っている場面であれば、コツコツと得点を重ねていくスタイルでも勝算があったが、相手チームの一発攻勢などで大量得点を奪われると、反撃が及ばないことが非常に多かった。

特に前半戦で奮闘していた中継ぎ陣に疲れが見え始めた夏以降、打線でカバーすべきだった試合をことごとく落とした。大砲が並ぶクリーンナップ実現は、ロッテファンにとっての願いでもある。

ホームランラグーンが追い風となるか

海に隣接するZOZOマリンスタジアムは、風の影響を多分に受けることもあり、甲子園同様、ホームランが非常に出にくい球場だ。

しかし、2019年シーズンからは新シートのホームランラグーン(ライト、レフト 計302席)が設置される関係で、既存のフェンスよりも最大4m前にフェンスが出ることになる。これまで、幾度となく見てきたフェンス直撃の打球が本塁打となるのだ。

特に井上やバルガスら長打を期待される打者にとっては、この上ない恩恵。井上が昨季同様かそれ以上のパフォーマンスを発揮することができれば、自ずと30本塁打も視界に入ってくるだろう。当然、バルガスにも一発の期待がかかる。

昨季見せつけた走る野球に新生クリーンナップの破壊力が融合すれば、攻撃パターンも増え、得点力も飛躍的に向上するはずだ。

ここ2年間低迷しているロッテが再び上位進出を果たすためには、井上、バルガスの巨漢大砲コンビの爆発が欠かせない。