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【函館記念】荒れる重賞でも6番人気以下の勝利はなし 先入観のウラをつけ!函館記念必勝データとは?

2020 7/12 17:50勝木淳
函館記念データインフォグラフィックⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

単勝からホームラン狙いは禁物

函館開催のフィナーレは名物重賞函館記念。サマー2000シリーズ北海道編の第一戦、荒れるハンデGⅢだ。

過去10年のデータからその傾向を探っていく。まずは人気順別の成績である。

人気順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

1人気【1-1-0-8】勝率10%、複勝率20%、10年で馬券に絡んだ馬が2頭、この頼りなさが荒れるイメージを生んでいるにちがいない。

しかしながら6人気以下の勝利はこの10年ではゼロで、2人気【2-0-0-8】、3人気【3-0-1-6】、4人気【2-0-0-8】、5人気【2-0-1-7】と勝ち馬は上位人気が占めており、7人気【0-2-5-3】、8人気【0-2-1-7】から14人気までの間に2、3着馬が分布、ヒモ荒れ傾向。この人気薄の2、3着馬が荒れるイメージのもとである。

だが、6人気【0-0-0-10】とさっぱり。6人気は馬券的においしいことが多いものだが、いわゆる穴人気、穴党が飛びつきそうな馬が来ない、ここにも函館記念のややこしさがある。傾向らしい傾向はなんなのか、そこで枠番別成績をみる。

枠番別成績(過去10年)ⒸSPAIA

開催最終週で馬場状態の悪化も予想されるものの、どうも内枠がいい。

外差し馬場になりやすい状況ながら枠番は内枠が優勢、2枠【4-3-2-21】勝率20%、複勝率40%、3枠【3-1-0-16】勝率15%、複勝率20%、4枠【2-2-1-15】勝率10%、複勝率25%、2~4枠にホットスポットがある。

外枠は6枠【1-1-0-18】ぐらいで7枠【0-1-1-18】、8枠【0-0-3-17】と振るわない。函館記念では外差し=外枠ではないということは忘れずにいたい。

悩ましい巴賞組の取捨

次はどのようなローテが有効か、前走レース別成績をみる。

前走レース別成績(過去10年)※上位10レースⒸSPAIA

目黒記念【3-0-0-9】勝率25%は出走馬がいればチェックしたい。格上のGⅡから適度な間隔で出走する馬が勝ち切るケースがあるからだ。

問題は巴賞【1-4-2-44】の解釈だろう。函館記念より200m短い1800mで施行される主要ステップレース、頭数がもっとも多い割にこれが機能しない。

今年もそうだが、巴賞→函館記念は中1週で行われるケースが多く、いくら滞在調整とはいえ中1週での連続出走は難しい。であれば巴賞組は消しでいいのかというとそうとも言えない。

2着は4回あり、昨年は巴賞組のワンツー(1人気マイスタイルと9人気マイネルファンロン)、巴賞組をうかつに消せないことを証明した。そこで巴賞組の前走着順別成績、つまり巴賞での成績をみる。

前走巴賞組の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

5着【0-1-0-5】6~9着【1-2-1-11】10着以下【0-1-0-7】と巴賞凡走組の巻き返し、それが特徴的だ。巴賞勝ち馬は【0-0-0-9】で2着も【0-0-0-5】とさっぱり。3着は【0-0-1-4】で3着が1回ある(16年9人気ツクバアズマオー)ぐらい。

やはり中1週での連続好走は難しく、1800mと2000mのたった200m差が異なる適性を求めているともいえる。また、北海道に移動、函館記念を狙って明らかにたたき台として巴賞に出走するような馬も多いのではないだろうか。

函館では中距離戦線のオープンはほかになく、ひとまず巴賞を使って……と考える陣営は多そうで、そんな狙いすましたローテを読むことで穴馬券にありつけそうである。

最後に前走脚質別成績を調べる。

前走脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

外差し馬場になりやすく、実際に最終週は条件戦では差しが決まるような場面が多いわけだが、函館記念はどうもその傾向にない。

前走逃げ【3-0-1-6】勝率30%、複勝率40%、前走先行【4-6-5-19】勝率11.8%、複勝率44.1%が明らかに優勢。中団や後方から競馬をした組は好走していない。

前走は先行したが、実際には中団から競馬をしたのではとも考え、函館記念の脚質別成績を。

脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

逃げ【2-0-2-7】勝率18.2%、複勝率36.4%でトップ。やはり逃げ馬が強く、差しが決まるという先入観のウラ目が出やすい。ここも函館記念のややこしさだろう。

しかし次位は中団【6-6-5-42】なので、前走先行からここで中団待機という馬の変わり身はありそうだ。直線が短く後方から一気というわけにはいかないものの、中団待機策は有効な策。

先行【1-2-3-41】なので逃げない、半端な先行は通用せず、中団待機組が最後に伸びて逃げ馬に迫るというシーンがデータ上は多いといえよう。ともあれひとまずは逃げ馬には警戒しておきたい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年函館記念インフォグラフィックⒸSPAIA

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