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男子テニス・夢の大会「レーバー・カップ」に注目

2018 10/7 11:00SPAIA編集部
レーバー・カップヨーロッパチーム(フェデラー・ジョコビッチ他)勝利
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Ⓒゲッティイメージズ

レジェンドが集結! 新たな欧州の国際大会に注目

9月、全米オープンが終わったあとに行われていた男子テニスのエキシビジョンマッチ、「レーバー・カップ」をご存知だろうか。レーバー・カップは2017年から始まったばかりの大会。ツアー大会ではなく、これまで日本人選手の出場がなかったため、日本ではまだあまり認知されていない。

世界選抜とヨーロッパ選抜の2チームによる団体戦で、3日間かけて行われるのだが、出場選手にフェデラーやナダルといった現役トッププレイヤーたちが名を連ね、テニス界きっての豪華なエキジビションマッチとして国外では注目を集めている。

大会名はオーストラリア人の伝説的テニスプレーヤー、ロッド・レーバー氏の名前を冠している。それだけではなく、トロフィーにもレーバー氏の偉業を称える意匠がこらされており、かつて氏が獲得したトロフィーを溶かして作られた素材が一部に使用されている。また、生涯を通じてグランドスラムを2度達成した功績に対し、土台に4組のリングが二つ刻まれ、フォルムは「ロケット」というレーバー氏の愛称にちなんでロケットを形どっている。

各チームは往年の名選手が監督に就き、現役のトップ選手たちを率いて戦う。各世代のテニスファンはもちろん、選手自身にとっても夢の舞台であり、過去2大会は大きな成功を収めた。

ポイント制の変則的なレギュレーション

レーバー・カップは全米オープン閉幕から2週間後の金曜日から日曜日の3日間で行われる。

世界選抜監督はジョン・マッケンロー(アメリカ)、対するヨーロッパ選抜はビョルン・ボルグ(スウェーデン)が第3回まで務める。

この二人は現役時代、ライバルとして数多くの名勝負を繰り広げてきた。関係を知っている往年のファンにとって、この監督のチョイスは感慨深いものだろう。

レギュレーションは少々変則的だ。3日間の大会期間中、シングルスが9試合、ダブルスが3試合行われる。すべて3セットマッチで、ファイナルセットは10ポイント先取のタイブレーク制を採用。各日にシングルス3試合、ダブルス1試合の計4試合が行われる。

1日目に勝ったチームには1ポイント、2日目に2ポイント、3日目には3ポイント付与される。全24ポイントのうち13ポイントを先取したチームが優勝し、栄光のレーバー・カップを手にする。

選手は初日か2日目のどちらかで最低1試合はシングルスを戦わねばならないほか、各チームの6選手のうち4選手がダブルスを戦うなど、細かいレギュレーションがある。

大会に参加する全選手のプレーを満遍なく見ることができるスケジュールになっているのだ。

マッケンローが監督を務め、現役選手きってのエンターテイナーでもあるフェデラーやキリオスがいることから、試合中は思わぬハプニングが起こることも。会場はテニスだけではなくそうした出来事でも楽しむことができる。

ビッグ4がペアを組むドリームマッチが実現

まだ2度しか開催されていないレーバー・カップだが、ファン垂涎の好カードが実現している。

第1回大会ではビッグ4のロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)という夢の共演でダブルスに出場。ATPランキングNo.1、グランドスラムの頂点を懸けてしのぎを削るトップ選手がペアを組む姿は、テニスファンにとっては夢の光景だ。

選手本人もこの機会を楽しんだようで、フェデラーは「一緒にプレー出来て楽しかった。共にコートに立って、彼がどのように考えてプレーするのか知ることができた。ビッグポイントで彼を信頼できたしね。素晴らしい経験だった」と喜びをあらわにした。

シカゴで行われた第2回大会では、フェデラーはノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)とペアを組んでダブルスに臨んだ。

試合は世界選抜のケヴィビン・アンダーソン(南アフリカ)/ジャック・ソック(アメリカ)ペアに敗れたものの、夢のペアに会場は大いに盛り上がった。今後もこうしたトップ選手の共演が期待されている。

実力差の偏向が課題

夢の大会だが、懸念が無いわけではない。今のところヨーロッパ選抜が連覇しているのだが、その陣容はフェデラーを筆頭にナダルやジョコヴィッチ、ドミニク・ティーム(オーストリア)、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)らが参加。ATPランキングトップ10選手のうち、17年大会は5人、18年大会は4人も抱えていた。

対する世界選抜は、17年大会ではランキング最高位が16位のサム・クエリー(アメリカ)。18年大会はケヴィン・アンダーソンの9位がトップだ。トップ20位内とはいえ、トップランカーが集まるヨーロッパ選抜と比較すると戦力差は決して小さくない。

ヨーロッパ以外の選手ではフアン・マルティン・デルポトロ(アルゼンチン)、錦織圭(日本)、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)、チョン・ヒョン(韓国)らがランキング上位に位置し、今後の出場が期待されている。

第3回大会はフェデラーの母国スイスで開催。フェデラー自身がこの大会の実現に尽力しており、母国開催となればこれまで以上に気合を入れて臨むことだろう。ランキングやツアーファイナルズの行方を左右することは無いが、素晴らしい大会になることは間違いない。