韓国作品「パラサイト」4冠!アカデミー賞史上初 外国語映画が作品賞

[ 2020年2月11日 05:30 ]

第92回アカデミー賞授賞式 ( 2020年2月9日    米ロサンゼルス ドルビー・シアター )

第92回米アカデミー賞で作品賞を受賞し、喜ぶ「パラサイト」のポン・ジュノ監督(右)と出演者ら(AP)
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 米映画界最大の祭典、第92回アカデミー賞の授賞式が9日(日本時間10日)、ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、日本でも大ヒット中の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が外国語作品としてオスカー史上初の作品賞に輝いた。監督賞、脚本賞、国際長編映画賞と合わせ4部門制覇の快挙。日本からは女優の松たか子(42)が、日本人として初めて「アナと雪の女王2」の楽曲を授賞式のステージで熱唱した。

 授賞式の大トリ。作品賞プレゼンターの女優ジェーン・フォンダ(82)が読み上げたのはオスカー史上初、外国語の作品だった。客席のポン・ジュノ監督(50)は主演のソン・ガンホ(53)と抱き合って大喜び。監督、俳優、スタッフ…関係者全員が登壇し、ハリウッドセレブで埋まった客席まで歓喜が広がった。

 授賞式は「パラサイト」一色と言ってもよかった。昨年5月のカンヌ映画祭で韓国映画史上初めてパルムドール(最高賞)を獲得した勢いそのまま、最初の表彰となる脚本賞で韓国に初めてオスカーをもたらす。続いて国際長編映画賞(旧外国語映画賞)を受賞。ポン監督は「今日は朝まで飲みます」と満面の笑みを浮かべた。

 マーティン・スコセッシ監督(77)ら巨匠を抑えて監督賞まで受賞。ポン監督は「映画を学んでいた頃の、最も個人的なことが最もクリエーティブなこと、という言葉が心に深く刻まれている。これは偉大なるスコセッシ監督の言葉です」とスコセッシ監督に感謝すると、会場はスタンディングオベーションに包まれた。

 アカデミー賞は昨今「白すぎるオスカー」と白人のノミネートが多いことなどが批判され、多様性を模索していた。その中で、世界で普遍的なテーマの「格差社会」を皮肉とユーモアを交えて、あっと驚く展開で描いた。映画評論家の渡辺祥子さんは「(受賞作を決める)アカデミー会員には保守的な白人が多かったが、会員数が増え、若い世代やさまざまな国籍の考え方が違う人が入ってきた」と指摘。その上で「ほとんど外国映画を上映しないニューヨークでもかかっていて、浸透しているなと思った。これらの要素がどんどんプラスに働き受賞したと思う」と分析した。

 授賞式終了後、ポン監督は会見。4冠について「なぜでしょうかね。むしろ私が皆さんに聞いてみたいです」と笑顔。韓国、アジア、ハリウッド映画史に新たな歴史を刻んだ一夜に酔いしれていた。

 ▽パラサイト 半地下の家族 格差社会をテーマにしたブラックコメディー。衛生的にも問題がある“半地下住宅”で暮らすキム一家4人は、しがない内職でその日暮らしを続けている。そこに高台にある高級住宅地の大邸宅に住むIT企業社長一家の家庭教師の話が舞い込む。4人は“憧れの生活”を手に入れるため、さまざまな手を使って社長一家に近づき、寄生していく。やがてほころびが生じ、予想外の結末を迎える。

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2020年2月11日のニュース