JRA史上初の無観客開催 歓声なきレース…柴田善「やっぱり寂しい」

[ 2020年3月1日 05:30 ]

無観客のスタンドを横目に競馬が行われた阪神競馬場 (撮影・後藤 大輝)
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 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中央競馬は2月29日から76年ぶり(JRAとしては史上初)となる無観客開催で行われた。出走馬は無人のパドックを周回し、レース中は競馬場に蹄音と実況音声のみが響いた。

 この日は各競馬場の最寄り駅に告知の看板が用意され、JRA職員が呼びかけを行った。午前9時頃、中山の正門前には数名のファンの姿もあったが、大きな混乱はなかった。全国のウインズも閉鎖。売得金は3場合計の対前年比が87・4%(178億4354万5100円)と健闘した。電話・インターネットでの今年の販売割合はトータル発売額の71・8%(先週終了時点)だったため約3割の売り上げ減が見込まれていたが、ネット投票が前年比122・1%と数字を伸ばして減少を抑えた。

 中山メインを勝った現役最年長騎手の柴田善は「無観客は初めての経験。自分は普段から緊張して歓声は聞こえないけど、やっぱり寂しい。馬を見るのを楽しみにしている人もいるだろうし残念。でも、やむを得ないことなのでここは我慢」とファンを思いやった。レースへの影響について騎乗を終えた騎手たちは「パドックは違和感があるけど他は普段通りできる」(丸山)、「実況も聞こえるしレースはいつも通り」(田辺)と異口同音。大きな影響はなさそうだ。

 JRAは無観客開催の期間を「当面の間」としている。大歓声に包まれる競馬場の日常を取り戻すためにも、一刻も早い感染拡大の終息が待たれる。

 ▼福永 レースは普段通りの気持ちで乗りました。ただ、直線での歓声がない分、中でプレーする身としてはファンの方々があってのものなんだなと感じました。いつまでこういう状況が続くのか…という気持ちはありますが、画面の向こうで大勢のファンがいると思って、しっかり乗っていきます。

 ▼藤岡佑 お客さんがいない状況に最初は戸惑いました。ステッキの音が鮮明に聞こえるし、いかに普段の声援が大きいかということを感じましたね。一日でも早く、元の状況に戻ってほしいと思います。

 ▼武豊(サウジアラビアで騎乗)近代競馬では初めてのこと。戸惑いはありますが、ジョッキーとしてやることは変わらない。無観客競馬でもできたことが何より。早い終息を願うばかりで、そうなればまた競馬場に見に来ていただければうれしいです。実は昔、フランスで無観客レース(券売場のストライキ)を経験したことがあって、その時は不思議な感覚でしたね。

 ▼JRA吉田正義総合企画担当理事 JRAとして初めての無観客競馬が大きなトラブルなく終了し、まずはお客さまのご理解と皆さまのご協力に感謝申し上げます。今後も新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めるとともに、明日以降の競馬も安全に実施できるよう取り組んでまいります。

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