「転向者さん、大歓迎」。夢への扉を開く。パラアスリート発掘事業

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu
  • photo by Press Association/AFLO (山崎晃裕選手)

 7月14日(日本時間15日)に開幕し、9日間の熱い戦いを繰り広げたパラ陸上の世界選手権(ロンドン)で若きスロワーが躍動した。男子やり投げの21歳・山崎晃裕(関東パラ陸上競技協会)だ。切断などF46クラス決勝で53m55の今シーズンベストをマークし、初めての大舞台で5位に入った。

野球で培った強肩を存分に生かせるやり投げで、東京パラ出場を狙う山崎晃裕野球で培った強肩を存分に生かせるやり投げで、東京パラ出場を狙う山崎晃裕 なんと彼は、やり投げを始めてまだ1年8カ月しか経ってないのだ。先天的に右手関節部欠損があるものの、小学3年から野球一筋の元高校球児。2014年の世界身体障害者野球大会では日本代表として1番・レフトで活躍し、準優勝に貢献した。そんな山崎には「東京パラリンピックでメダルを獲る」という目標があった。だが、障害者野球はパラリンピックの採用競技ではない。そこで、15年に東京都で行なわれたパラスポーツの選手発掘事業に参加。このトライアウトで、野球で培った強肩が生かせるやり投げと出会い、競技転向に踏み切った。

 実は山崎のように、各地で開催されている選手発掘事業への参加をきっかけに競技転向し、新たなステージで活躍するパラアスリートが増えている。現在、車いすフェンシングで東京パラリンピックを目指す、元車いすバスケットボール日本代表の安直樹(電通アイソバー)や、スノーボーダーとして将来を嘱望されながらトランポリンでの練習中の事故で左足に障がいを負い、現在はパラ陸上とパラスノーボードのトップ選手として活躍する成田緑夢(ぐりむ/近畿医療専門学校)も、発掘イベントを経て世界に羽ばたいている。

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