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海外テニス

“ボールを追うだけがテニス選手の役割じゃない”フェデラーが示す環境問題への一歩進んだアプローチ【海外テニス】

レネ・シュタウファー

2020.06.30

地元スイスの環境活動家グループに標的にされたフェデラーは、そこから逃げることなく大人の対応を示した。(C)GettyImages

地元スイスの環境活動家グループに標的にされたフェデラーは、そこから逃げることなく大人の対応を示した。(C)GettyImages

 20年に及ぶツアーでロジャー・フェデラーは、1500以上のゲームを積み重ねてきた。その経験から彼は、対戦相手への対処法を学んだ。

 しかし一方で、彼は意外な方面から攻撃された場合に、テニスコートの「外」で反応する方法も知っている。その際の戦術はほとんど同じだ。すなわち、理解することを示し、自らが鋭く反応する前に問題を真剣に受け止めるというやり方である。

 今年の初めフェデラーは、世界的に広く名前が知られるようになった17歳のスウェーデン人環境保護活動家グレタ・トゥンベリから、熱心な支援を受けたスイスの若い気候環境活動家グループの『標的』になった。

 彼女の約400万人のフォロワーへのリツイートで、グレタはフェデラーの『クレディ・スイス銀行との関係』に反対した。環境グループはこのパートナーシップを何カ月間も繰り返し批判しており、フェデラーに「クレディ・スイスとの関係を解消する」よう求めている。

 活動家の主張によれば、クレディ・スイス銀行は「石炭などの化石燃料を促進する企業に数十億ドルを投資しており、環境と地球温暖化に対する有害な影響について気にしていない」そうだ。

 昨年11月、活動家グループがクレディ・スイス銀行の複数の支店を占拠した。そこで彼らはテニスをプレーしながら、「もしもロジャーがこれを知っていたならば!」と叫び、抗議を行なった。そして参加者の何人かが、住居不法侵入の疑いで逮捕された。ちなみにこの活動を起こすために作られたハッシュタグは、『Roger Wakeup now !』( フェデラーよ、今こそ目を覚ませ!)である。
 
 1月に裁判が開始され、20歳から25歳の学生が全ての無罪申し立てを取り消されたが、その際、フェデラーは非常に深い理解を示すかのように反応してみせた。

 全豪オープン開幕直前の声明で、彼は次のように語っている。

「4人の子どもの父親として、私は若者らの気候変動に関する運動に大いなる敬意を持ち賞賛をしています。私たち全員が日頃の行動を見直し、革新的な解決策を探すことを余儀なくしてくれた若い気候活動家に感謝します。私たちの責任を改めて認識するところです」

 さらに、「私は自分の責任と特権的な立場を認識しており、これらの重要な問題についてスポンサーとの対話を求めていこうと思っています」と結んだ。
 

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