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松田優作没後30年 最初で最後のハリウッド映画『ブラック・レイン』の衝撃<ザテレビジョンシネマ部>

2019/11/06 07:00

【写真を見る】松田優作が演じた“悪の結晶体”のようなキャラ「佐藤」
【写真を見る】松田優作が演じた“悪の結晶体”のようなキャラ「佐藤」(c)1989 by Paramount Pictures Corporation.


映画『ブラック・レイン(1989)』(11月13日午前10:35 WOWOWシネマ )が初公開されてから30年――そして、本日は「11月6日」。ということは、あの不世出の、稀代のアクターが惜しまれつつも他界してから、同じだけの月日が流れたわけである。

その男の名は松田優作。『ブラック・レイン』は、彼がかねてより憧れ、“映画の父”の国と呼んでいた聖地、アメリカへと乗り込んで、確かな存在証明を為し、役者としての力量をワールドワイドに認めさせた作品だった。オーディションで手に入れた役どころは、本国のみならずNYでも跳梁跋扈している日本人ヤクザ「佐藤」。狂気と冷徹さとカリスマ性を帯びた、まるで“悪の結晶体”のようなキャラクターだ。

『ブラック・レイン』
『ブラック・レイン』(c)1989 by Paramount Pictures Corporation.


NY市警の刑事ニックとチャーリーに、殺人の罪で佐藤は一度は捕獲されるものの、護送中、大阪空港での引き渡し時に手下を使ってまんまと逃走、2人は大阪府警の松本警部補の監視のもと、異国の地で佐藤を追うことになる。監督を手掛けたのは鬼才リドリー・スコット。主要キャストは当時ノリに乗っていたハリウッドスターのマイケル・ダグラスにアンディ・ガルシア、さらには、世界に誇る日本映画界の至宝、高倉健も。顔ぶれは申し分ない。

松田優作…いや、彼が化身してみせた冷酷非道な佐藤は、事件の発端、登場シーンから観る者の目を釘付けにする。レストランに颯爽と現れ、サングラスを外すや一挙一動で“場”を圧していくのだ。静かな凄み。と、そこに偽札の原版を取られ、メンツを潰されたヤクザの親分の「相変わらずヒヨッコだな」という声が! 佐藤はため息と共にやおら振り向き、「あァ?」と声の主をにらんだかと思うと、まず子分の胸をナイフで刺し、続いて親分の背後に回って喉元をかっ切る。以降もかように、ひとつひとつの身振りに半端ない殺気と緊張感をみなぎらせてゆく優作は、例えば『羊たちの沈黙(1991)』のアンソニー・ホプキンス、『ダークナイト(2008)』のヒース・レジャー、はたまた『ジョーカー(2019)』のホアキン・フェニックスなどにも匹敵する“悪”の魅惑の匂いを先んじて、スクリーンを通して振り撒いたのであった。

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[放送情報]
ブラック・レイン
WOWOWシネマ 11/13(水)午前10:35

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