一部の選手たちにとって、ユニフォーム交換は試合後のささやかな楽しみだろう。かつて共闘した選手同士で健闘を称え合う者も入れば、幼い頃から憧れだったスター選手のレアなシャツをゲットするために交換を申し出る者もいる。後者の場合、特にバルセロナのFWリオネル・メッシは人気だろう。バルセロナと対戦する際、多くの選手は彼とのユニフォーム交換を狙っているはずだ。
しかし、そんなメッシに対してでもユニフォーム交換を自ら申し出ることはないと、揺るぎない信念を語る選手がいる。リヴァプールで主将を務めるMFジョーダン・ヘンダーソンだ。リヴァプールとバルセロナは昨季チャンピオンズリーグで対戦しているが、その時もメッシにユニフォームを求めることはなかったと語る同選手。一体なぜ、彼はそこまで強い信念を持っているのだろうか。
決してメッシを過小評価しているわけではない。その決意の裏には下積み時代に出会った“闘将”の言葉があるのだ。英『Daily Mirror』に対して、ヘンダーソンはこれについてメッシとの話を交えながら次のように語っている。
「『Oh,my God、彼(メッシ)がいる』なんで心に思ったことはないよ。でも、テレビで見るのと実際にプレイする彼が違うのは確かだね。とても速いんだ。彼のフリーキックも信じられないものだったね。僕はアリ(アリソン・ベッカー)がどれほど素晴らしいGKであるかを話したことがあるけれど、そんな彼がどうしようもないところへメッシはボールを蹴り込んだんだ。あのボールスピードや正確性はパーフェクトと言えたよ」
「(0-3で敗れた1stレグの後に)ユニフォーム交換を申し出ることを考えたかって? 答えはNoだね。僕はそういうことを一度もしたことがないんだ。サンダーランドに在籍していた当時、ロイ・キーンに言われたことがあるんだ。『誰かにユニフォームの交換を頼むのは、相手を恐れているように見える』ってね。結局、僕はルイス・スアレスのユニフォームを家に持って帰ったよ。ルイスは良いヤツだ。リヴァプールで一緒にプレイしていたよねってジェスチャーをしながらそれを渡してくれたのさ。その後、彼が僕のユニフォームをどうしたかが知らないけどね」
ヘンダーソンがユニフォームを自分から求めに行かないのは、かつて師弟関係を結んだレジェンドの教えを大事にしているからだという。同じピッチに立った時点で立場は対等。その憧れは要らぬ恐怖心に繋がるとの考えだ。頼もしい限りと言えよう。
チームリーダーとして強靭なメンタルを備えるヘンダーソン。この男の中にも熱き“闘将”の魂は宿っている。
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