<新型コロナ 区長に聞く>「感染しない行動」意識付け 江戸川・斉藤猛さん

2020年8月1日 07時09分

江戸川区の新型コロナウイルス感染症対策について話す斉藤猛区長=同区役所で

 夜の繁華街だけでなく、都内では、新型コロナウイルスの家庭内感染も広がりをみせている。感染拡大をどう防ぐのか。台風被害などで、避難所に人が集まることも想定される。70万人が暮らす江戸川区の斉藤猛区長に現状や課題を聞いた。 (加藤健太)
 −区内の感染状況をどうみているか。
 住宅地が広がる江戸川区では、数十万人が通勤や通学で区外に出ている。感染者の感染経路をたどると、接待を伴う区外の飲食店で感染し、持ち帰ってくるケースが目立つ。
 区内の感染者を、人口十万人当たりでみると二十三区で最も低い水準になる。新宿や池袋のような大きな繁華街はないので、感染者は浅く広く分布している。地域や年代に偏りがないのが特徴だ。
 −どんな対策が有効と考えるか。
 感染者があちこちに散らばっているので、特定のエリアで対策を打つというよりも、区民の皆さんの意識を高めてもらうしかない。原始的だが、区外に出かける人が多いのを逆手に取り、朝の通勤時間帯に区内の全十二の駅前に区の管理職が一斉に立って、「感染しない行動をお願いします」と呼び掛けた。こうした対策は、効果が数字に表れなくても、中長期的な意識付けだと思って続けていきたい。
 −区内は低地が広がっている。コロナ禍で水害が起きたら避難先で密集ができかねない。
 水害や地震などの災害時、二十一万人が学校の体育館などに避難できる態勢を取っている。だが、ソーシャルディスタンスを考慮すると計算上、六万人しか避難できない。あふれた十五万人をどうするか。新たな避難先を確保するには時間が足りないので、感染の疑いがある人は体育館から離れた教室に移ってもらうやり方を考えている。
 −これまでのコロナ対応を振り返って反省点は。
 四月上旬、重症者の入院先が見つからず夜通し探した。八王子市の病院が受け入れてくれることになり、東京の東の端から五十キロ離れた西の端まで搬送した。これはまずいと、区内で検査から療養まで一貫してできるような体制を作った。四月下旬にドライブスルー式のPCR検査を始めるまでは、検査を受けたい時にタイムリーに受けられなかったのも反省点だ。
 −これからの課題は。
 税収は二〇〇八年のリーマン・ショック時よりも減るとみている。この先の財政運営が厳しくなる。想定外の災害が起こりうることも考えると、千代田区のように区民に一律十二万円を給付することはできない。蓄えを残しながら、区民の生活をいかに守っていくかが課題だ。

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