「第29回WBSC U18ベースボールワールドカップ」(30日開幕、韓国・機張)に出場する高校日本代表が28日、成田空港から大会の舞台へと旅立った。

 今夏の甲子園大会を沸かせた準V右腕の奥川恭伸投手(3年=星稜)は疲労を考慮し、いまだノースロー調整ながら「疲れも取れてきて不安もない。(去年の)悔しい思い出を今大会で晴らしたい」と意気込んだ。

 一方で、国内12球団のスカウトは、今夏の甲子園大会を沸かせた準V右腕の奥川恭伸投手(3年=星稜)の状態を気にかけている。

 22日の甲子園決勝(対履正社)を最後にノースロー調整が続いており、25日に合流した代表合宿中もキャッチボールすらなし。甲子園で投じた計512球からの肩、ヒジのダメージ回復に努めている。

 永田監督は合宿中「奥川の場合は体との相談です。無理をさせるつもりはない。まだキャッチボールもしていないし、ここ(合宿)では、しっかり下半身をつくろうと。(起用法も)本人には伝えていません」と本大会での起用は全くの白紙であることを明言している。

 連日、代表合宿を視察してきたNPB球団のスカウトは「佐々木のマメとは違って、奥川の場合は今後もしっかり経過観察をしていかないといけないデリケートな問題。(合宿中に)キャッチボールもしないなんて、どこかおかしいのではと疑ってかからないといけない状況でしょう」と慎重に事の推移を見守っている。

 今秋のドラフトでは、よほどのチーム事情がない限り、佐々木、奥川、森下(明大)の3右腕に1位指名が集中することは、ほぼ確実。しかし、奥川の指名を回避せざるを得ない不安要素が発生したとなれば、奥川を最上位に位置づけている球団だけではなく、すべての球団は外れ1位までを含めた1位戦略の練り直しを余儀なくされる。

 奥川の“ノースロー問題”は、U18W杯で投手のやりくりに頭を悩ます永田監督とは別の視点で、国内12球団を悩ませる不安要素になりつつある。