セ界制覇へ、ついに王手をかけた。巨人は20日、2位・DeNAとの直接対決(横浜)に9―4で勝ち、優勝マジックを「2」とした。21日の同カードに勝利すれば、5年ぶり37度目のリーグ優勝が決まる。ヒーローは主将・坂本勇人内野手(30)だ。先制、ダメ押しの2本塁打を放つ大活躍。チーム内からは背番号6の来季年俸を巡って、日本人選手最高となる6億5000万円超えを推す声が上がっている。

 とうとうゴールが見えた。巨人を脅かし続けたDeNAとの激闘を制した原監督は「(最後は)点差は開きましたけど、緊張感のあるゲームだったと思います」とホッとひと息ついた。

 なかでも気を吐いたのは坂本勇だった。初回に試合開始3分でバックスクリーン左へ先制38号2ラン。3点リードの7回無死二塁の場面では、貴重な追加点につながる送りバントもきっちりと決めた。そして、9回には反対方向の右翼スタンドへ39号ソロを突き刺した。3戦連続で1得点と低調だった打線に火をつけ、食い下がるベイの息の根を止めたのも背番号6だった。

 これには指揮官も「やっぱりキャプテンが非常に価値のある2本のホームランだったと思いますね。(犠打を命じたのは)どうしても、もう1点を取りたいというところですね。何とか(走者を)三塁に送りたかった。見事なプレーヤー」と大絶賛だった。

 今季の坂本勇はまさに大車輪の活躍だ。プロ13年目にして39本塁打、93打点はいずれもキャリアハイを更新中で、打率は3割1分3厘。開幕から続いていた全試合先発出場こそ足の張りの影響で18日の中日戦(ナゴヤドーム)で途絶えたが、翌19日は志願のスタメン出場。試合には敗れたものの、チーム唯一の得点は主将の責任感と意地が爆発した一発だった。

 主将としての悲願の初優勝まで本当にあと少し。チーム内からは坂本勇の価値を表す来季年俸を巡る話題も持ち上がっている。

 今季の坂本勇の推定年俸は5億円。ナインからは「主将をやりながら、これだけ打って守って優勝までできるなら(菅野)智之よりもらっても誰も文句は言わないでしょう。それだけの価値がある選手だと思いますよ」との声も上がった。

 現状、エース菅野の推定年俸は6億5000万円。球団ではOBの松井秀喜氏の6億1000万円(推定)をも上回り、日本人選手最高となっている。坂本勇が“菅野超え”を果たすとなれば、最高額をさらに更新することになるが…。

 当の本人は試合後、翌日の試合について「もちろん勝てれば一番いいですけど、やることは変わらないので。明日勝てるように、今日もいい準備をして明日に備えたいと思います」と平常心のまま帰路に就いた。5年前と同じハマスタで胴上げとなるのかも注目だが、坂本勇の契約更改も見ものとなってきた。