日本シリーズ第3戦は22日、舞台を東京ドームに移して行われ、ソフトバンクが6―2で巨人を下して対戦成績を3勝0敗とし、日本一3連覇に王手をかけた。

 本拠地に戻っても鷹の勢いは止められなかった。2―2の4回から3番手で登板した高卒新人の戸郷も誤算だった。下位打線相手に一死一塁から四球を与え、相手先発バンデンハークの投前への犠打を三塁へ悪送球。満塁とピンチを広げて長谷川勇の犠飛で勝ち越しを許し、その後も柳田への押し出し四球とデスパイネの2点打で一挙4点を献上した。19歳のルーキーを責めるのは酷だが、短期決戦でのミスはやはり命取りとなる。

 頼みの強力打線も中軸が空回りした。2番の坂本勇は4タコの3三振で今シリーズ3戦で打率9分1厘(11打数1安打)。3番・丸も計9打数無安打で、いまだ快音が聞かれない。試合後、原監督は「なかなかジャイアンツらしさというか、ジャイアンツの良さが出切っていないですね。明日から出すようにすることが、大事だと思いますね」と奮起を促すしかなかった。

 もう後がない。チームは今季限りで現役引退する阿部を送り出すべく一丸となってきたが、実はそんなムードに水を差しかねない“不穏行動”も起きていた。その主は、今季から加入したクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(28)だった。打撃不振で長らく二軍暮らしが続いたが、日本シリーズの出場資格選手の40人に名を連ね、18日の福岡遠征から一軍に帯同した。ところが19日の初戦(ヤフオクドーム)はベンチ入り25人から外れ、20日の第2戦は球場に姿を見せることなく帰京した。

 出場機会もなく、遠征中にチームを離れたことについて、吉村打撃総合コーチは「ベンチ入りの人数とかいろいろ。1戦目、2戦目は入れられなかった」と説明した。一方で、チームスタッフからは「一軍に呼ばれたのにベンチ入りできず、ふてくされたような態度を取ってしまったそうです」とも。今季、別のチームでも聞いたような話ではあるが、期待を膨らませてやって来た一軍で出番がないことを悟り、モチベーションが下がってしまったというのだ。別の首脳陣は「技術とメンタル、両方の問題」とキッパリだった。

 ビヤ砲の居場所はフェニックス・リーグが行われている宮崎ではなく、ファーム残留組が練習するジャイアンツ球場。吉村コーチは「(40人の)枠には入っているから呼べるように調整してほしい」と話したが…。

 今季のチームスローガンは「和と動」。普段から「巨人軍は個人軍であってはならない」と繰り返す指揮官が重要視するのは自己犠牲もいとわぬ協調性だ。23日の第4戦は、CSでの登板を回避したエース菅野が満を持して先発する。セ王者として一矢報い、何とか逆襲に転じたい。