注目度の高さが追い風になりそうだ。ただでさえ春に比べて地味な印象の秋季キャンプだが、巨人では新任の阿部慎之助二軍監督(40)率いるファーム勢が熱い。6日から宮崎でキャンプを行う一軍とは別にジャイアンツ球場に腰を据えて鍛錬を積むヤングGには“阿部効果”で注目も集まっており、球団サイドも新監督のプロデュース力に期待を寄せている。

 ストーブリーグもさることながら、今の巨人で最大の関心事といえば阿部二軍監督だろう。19年に及んだ現役生活にピリオドを打ち、指導者として第一歩を踏み出した姿には、原監督も「やっぱり若さがあっていいよ。(選手と)ともに汗をかく。僕らの年代にはできないことよ。本人はどこかにもう1年(現役で)やりたかったというのはあるかもしれない。でも、納得してくれた。胸を張ってユニホームを脱げた1年だったと思う」と目を細めている。

 第2の人生への覚悟は背番号にも表れていた。現役での19年間、もはや代名詞となった背番号は「10」から二軍監督就任とともに「80」に。原監督によると、実は80番への変更は本人の希望だったといい「(阿部)慎之助は偉いね。(指導者になっても)現役時代のを背負っている人もいるけれども、チームということから考えると若い番号は出すべきだね」と心意気を高く評価する。ちなみに「10」は当面空き番となるが、指揮官は「冗談っぽく『大城、10番つけるか?』と聞いたら固まりやがった。会話が進まなかったよ」と“仰天裏話”まで披露した。

 若手がフリーズしてしまうほど偉大な功績を残してきた阿部二軍監督にかかる期待は大きい。それこそ「10」の後継者育成やファーム全体の底上げ…とさまざまあるが、球団からは若手の売り出しへの期待もかけられている。

「慎之助が相手にしている若手は育成や実績のない選手ばかり。厳しく指導してくれれば、それだけスポットライトが当たる。無名の子たちの顔が売れるのは球団としてもありがたいことだし、取り上げられる選手にとっても張り合いが出る。お互いにとっていいことだと思うね」(球団スタッフ)

 阿部二軍監督は秋季練習がスタートした1日、育成の黒田に体力が尽きるほど厳しい練習メニューを課し、翌日以降も40分近くノックを乱れ打ったりと大ハッスル。「(日替わりでしごく?)うん。明日は俺に来るんじゃないかってね。緊張感を持たせて夜寝かせた方がいい」と予告した通り、ヤングGたちは連日悲鳴を上げている。“鬼監督”の次なるターゲットは誰なのか。ヤングGにとって期待と恐怖?の秋となりそうだ。