燕のトリプルスリー男の気になる進路は――。ヤクルトの山田哲人内野手(27)が24日、東京都内の球団事務所で契約更改を行い、7000万円増の年俸5億円でサインした。自身の持つ球団最高年俸(外国人選手を除く)を更新。複数年契約を打診されたが契約は単年で、順調にいけば来季中に国内FA権を獲得する。そんな山田哲が思い描く未来とは…。

 目標には届かなかった。日本プロ野球では唯一、3度のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成している。今季は本塁打(35)、盗塁(33)はクリアしたものの、打率が2割7分1厘と及ばなかった。

 今季、チームは球団ワーストタイの16連敗を喫し、最下位に沈んだ。山田哲は「一番はやっぱり悔しいです。チームも負けましたし、自分が目標にしていた数字も達成できなかったので、納得いくシーズンではなかったです」と唇をかんだ。

 ただ“燕の記録男”はシーズン33連続盗塁成功、昨季からの38連続盗塁成功で日本記録を更新。またチーム内では打撃査定は新人王を獲得した村上をしのぎ1番の評価を受けた。来季、国内FA権を取得見込みで複数年契約の提示を受けた。

 しかし、山田哲は「FA権を取得するまでは単年契約で行くっていうのを自分の中で決めていたことなので、それを(球団に)伝えました」と固辞。ポスティングシステムによる米メジャー挑戦は「そこについては想像にお任せします」とした。

 ただ、球団幹部は「ポスティングの話はまったくしていない」と明かし、2021年の米国挑戦の可能性は極めて低い。同幹部は「来年、FA権を取って『12球団の自分の立ち位置を知りたい』ということだった」とも続けた。

 山田哲自身も「(FA権を取得すれば)幅も広がりますしね、いろんな意味で」と切り出し「FA宣言するかもしないかも決めていないですけど、取得することで選択肢というのはすごく増えると思います」と意味深に話した。

 来オフの動向に早くも注目が集まる燕の顔に、チーム内からは「もっと(球団は)年俸を積むべきだ」との声も出ている。選手の一人は「(山田)哲人ならいくら出したとしても選手は誰も文句は言わないでしょう」と断言し、残留を熱望。一方、球団サイドは「(山田哲)本人は『キャリアハイを目指したい』と言っていたけど、そうなれば年俸が払えなくなる可能性もあるからね」と、球団として残留を望んでも支払い限界額に近づきつつあるとした。

 来季について「一番の目標はチームの優勝」とした上で、個人目標を「トリプルスリーを達成したいし、今まで以上の打率、盗塁数、本塁打数とかすべての面で今まで以上の成績を残せるように」と意気込んだ山田哲。その言葉通りの成績を残せば、空前の争奪戦が展開されそうだ。