16球団構想を掲げたワケとは――。ソフトバンクの王貞治球団会長(79)が30日、球界再編への持論について、熱量たっぷりに本紙に激白した。先日、在福テレビ局のインタビューで4球団を増やす形での球界再編について提言。止まっていた議論が再び動きだすきっかけとなった。王会長の念頭に常にあるのは野球界のさらなる発展だ。

 王会長が16球団プランを披露したのは11日に放送された在福テレビ局でのインタビューだった。クライマックスシリーズ(CS)をするには12球団では少なすぎること、現役選手や野球少年も含む球児たちの受け皿が増えることなどを挙げて「球界のためには、できるものなら16。あと4つ球団が誕生してほしい」と持論を説いた。

 16球団構想は2014年に自民党の日本経済再生本部が取り上げたことがあった。しかし、具体的な進展は何も起きていない状態だった。そこにきての“王発言”だ。止まっていた議論が再び動きだすきっかけとなったのは間違いない。では、新春に球界再編の必要性について訴えた王会長の思いはどこにあるのか。改めて本紙が問うと王会長は「立候補するチームがあるかどうか分からないけど、こっちから問いかけないと、手を挙げないこともあるだろうから。プロ野球界から、手を挙げてくれるところはありますかという投げかけをしてもいいんじゃないかなと」。思いをストレートに口にした。

 地方創生の観点もある。かつて福岡も野球空白地帯だった時代があるが、1989年にダイエーが来て年々根付いていった。「僕はお金のことは計算してないけどね」。こう前置きしつつも「地域的に(空白地は)四国とか北陸、沖縄だとかになるけど、ファンの人も四国にしても、北陸にしても、沖縄にしても、実際にプロのチームが出てきたら盛り上がると思うんだよね。(いずれも野球熱が高く)沖縄だってキャンプ地もある。四国だって一つくらい(球団が)欲しいと思うだろうからね」。

 また、2020年が野球界にとって勝負の年であることも大きいだろう。東京五輪で野球への熱が大いに盛り上がることは間違いないが、そこがゴールとなるわけにはいかない。日本全体としても五輪後の景気の悪化が懸念されるが、球界としてもその先となる“アフターオリンピック”の議論も必要となってくる。

「そのほうが(盛り上がった)熱は上がっていくだろうしね。オリンピックで終わっちゃうんじゃどうしようもないから。ましてや子供たちに対する投げかけは、ドンドンしていかないといけない。野球熱はドンドン上げていかないといけない」と続けた。

 この日はソフトバンクの必勝祈願に参加。集まったファンに向けて「今年は2020年、オリンピックの年です。オリンピックを大いに皆さんと盛り上げたいと思っております。そのためにもホークスが野球界を盛り上げないといけない。そう思っております」と話した。

 球界の未来を誰よりも案ずる王会長。2020年は例年にも増して尽力する一年となりそうだ。