プロ15年生の中日・吉見一起投手(35)が“危険な男”に変貌しようとしている。沖縄・北谷のキャンプでは2日連続のブルペン入り。1日は70球、2日は109球を投げ、例年にないほど張り切っている。

 低めへの制球力が球界随一とも称されるコントロールの持ち主だが、今キャンプでは意図的に直球を高めに投げるシーンが目立つ。「右(打者)と左(打者)のインコース高めがテーマ。とにかく低くというのをずっとテーマに持ってやってきたが、スタイルを変えようと思った。そこも使いながら、意図的にブラッシュボールというか、打者を起こすようなことをしていきたい」。今季は高めも積極的に使って打者へ立ち向かう考えだ。

 きっかけはテレビで見たメジャーで活躍する好投手。6年連続2桁勝利のヤンキース・田中、2年連続サイ・ヤング賞のメッツのデグロム、ドジャースでナ・リーグ最優秀防御率に輝き、FA移籍したブルージェイズの柳賢振を例に挙げ「すごく高めを使っているなというのが見ていて感じ取れたので、自分もやってみようかなという好奇心から。いろいろ試してみて、何かきっかけが見つかったり、発見もあるだろうし、形にできればいい」と力説する。

 昨季5試合に登板してわずか1勝(1敗)の屈辱を味わった。「ダメだったらもう終わりだと思う。昨年の悔しさもあるし、今年にぶつけたいという思いは例年以上にある。口で言うのは簡単だけど、あとは表現するだけ」。開き直ってイメチェンする竜の元エース右腕に怖いものはない。