ロッテへの電撃加入となった鳥谷敬内野手(38)が、チーム合流初日から周囲を仰天させた。入団発表から一夜明けた11日朝に、ZOZOマリンスタジアムを訪問。スーツ姿で井口監督ら首脳陣にあいさつすると、その足で埼玉・浦和の二軍施設へ向かい、いきなり軽快な動きを披露した。まずは“つかみは上々”といったところか。

「練習の鬼」と呼ばれ、3月上旬という異例の時期に新天地での再出発を決意した38歳のベテランだ。その気概は半端ではなかった。

 浦和の二軍施設に到着するや、すぐにスーツを脱ぎ捨てて真新しい背番号「00」の練習着を着用。そのまま室内練習場に移動すると、ノックやマシン打撃を始めたのだ。

 これには選手や関係者らも「えっ? さっきまでスーツだったのに、もうユニホーム(練習着)に着替えて練習してるんですか…」「すごく練習されるというのは聞いていましたが本当にやる人なんですね」と感服した表情を見せた。

 また別の若手選手も鳥谷がノックを受ける姿に「体が締まっている感じがしますね」と絶賛。「今開幕してもすぐに守れるんじゃないですか。キャンプにも参加してないのに…さすがとしか言いようがない」と球界歴代2位の1939試合連続出場記録を誇る鉄人の華麗なグラブさばきに脱帽した様子だった。

 もっとも、そんな鳥谷の野球に対する真摯な姿勢こそ、ロッテが獲得に動いた狙いでもある。球団関係者はこう明かす。

「井口監督や首脳陣はあくまで鳥谷を『戦力』と言いますが、獲得の真意はそれだけではない。今日のような鳥谷の動きや姿勢を若手に見てもらい、野球に対する取り組み方を見習ってほしいのです。今のチームは若手が多く、実績ある大物選手がウチにはいなかった。だからこそ鳥谷が必要だった。今日、鳥谷の練習を見ていない選手も、他選手から伝え聞いたり明日のニュースなどで見て思うところが出てくるはず。そう考えれば今日の彼の動きは若手にかなりの刺激になったはず。チームにいい影響を与えそうですね」

 この日は結局、軽めの練習どころか計2時間半以上も汗を流した鳥谷。練習後は集まったカメラマンからのシャッター音の嵐に「もういいでしょ。どんだけ写真撮るんですか」とおどけてみせたが、その表情には笑みがこぼれた。

 今後は当面、二軍調整を続ける予定だが、チーム合流初日から早くも周囲をとりこにしたレジェンドが、チームに旋風を巻き起こしそうだ。