4月24日の開幕に向け、調整を再スタートさせた矢野阪神で通称「ピチピチ枠」が継続されることになりそうだ。

 これは入団1年目の新人選手を指す隠語で、今月上旬のオープン戦で高卒新人の井上広大外野手(18=履正社)、遠藤成内野手(18=東海大相模)の2人を起用したのが由来。このときは、あくまで“お客さん”として一軍を体験させるだけが目的も、初々しすぎる2人の振る舞いに、矢野監督以下、首脳陣のほとんどが“心奪われた”という。

 清水ヘッドコーチもその一人で「監督も俺も、あいつらの瞳にヤラれた。返事の響きからして違うし、教えている側にも『もう、この瞬間を一瞬たりとも逃してなるものか』的な空気が嫌でも伝わってくるんだよ」と興奮気味に振り返る。

 そんな未来を担う面々に、当初は“親心”で設けた「フレッシュ枠」が、開幕が延期され練習試合を進めた中で、思わぬ効果も発揮し始めている。

 現在、一軍には小川一平投手(22=東海大九州)と育成の小野寺暖外野手(22=大商大)が帯同中。24日の練習試合・DeNA戦では揃って好アピールをした。

「ある程度は仕方がないけど、こういう(開幕が不確定な)状態で試合が続くとどうしても、選手は“流れ”でやってしまいがち。だけど彼らだけは『何としてでも、このチャンスで結果を残したい』という違う雰囲気を常に出し続けてくれて、チームにもいい影響を与えてくれている」(清水ヘッド)。この枠の存在が、ほかの2年目以降の選手たちを刺激するスパイスになっているという。

 首脳陣は当初「開幕にメドがつくまで」だった枠の設置期限を延長する方針。一軍未招集の1位ルーキー・西純矢投手(18=創志学園)らの招集も検討し、紅白戦などの実戦形式で登板させることで「ピチピチエキス」を今後も一軍に拡散し、チームの活性化を促すつもりのようだ。