巨人の炭谷銀仁朗捕手(32)の助言がGの若き4番を救っていた。

 新型コロナウイルスの感染拡大によりナインは個人調整中。岡本和真内野手(23)も連日、汗を流しているが「去年は銀さんのおかげで助かりました」とベテラン捕手に感謝の意を示している。

 初めて4番に座った2018年、史上最年少で「3割30本塁打100打点」をマークした岡本は19年も打率こそ2割6分5厘と苦しんだが31本塁打、94打点で5年ぶりのリーグ優勝に貢献。“2年目のジンクス”を見事にはねのけた。

 そんな岡本も長いシーズン中は“どん底”の時期があった。球宴直前の7月10日の阪神戦(甲子園)では11打席連続無安打となり打率は2割4分4厘まで下がった。

 岡本は「あの時、銀さんに『気にするな。西武打線だっていつもみんなが調子いいわけじゃない。山川が不調だと森が打ったり、森と山川が不調なら中村さんや秋山が打ったり。1年間を通してチームの誰かが打っていれば優勝できる』と言っていただいた。それで楽になりました」と振り返る。

 炭谷が例に出したのは2年連続でパを制した古巣の「山賊打線」。その圧倒的な破壊力の裏側を明かした形だ。

 岡本は18年にも6~7月にかけて32打席連続無安打のスランプに陥った。当時の高橋由伸監督が我慢の起用を続け何とか脱したが、怖さは身に染みている。炭谷の助言は間近で見てきただけに説得力があったようだ。

 日本代表など多くのキャリアを誇る炭谷の配球読みや、相手投手のクセを見抜く力は岡本だけでなくチームに大きく貢献。昨季、ローテで活躍した桜井やルーキー左腕・高橋など投手陣への助言が目立ったが、打者へも効果を発揮した。
 岡本も調子を取り戻すと8月は打率3割1厘、9本塁打、26打点と爆発し優勝を引き寄せた。炭谷自身は「そんなに大したことは言ってないです」と謙遜するが、金言ならぬ“銀言”は今季もここぞというタイミングで飛び出しそうだ。