独立リーグも悪くない! 14年ぶりの現役復帰を目指す新庄剛志氏(48)に、阪神時代の打撃コーチだった柏原純一氏(野球評論家)が愛ある提言だ。新庄氏はNPBでの復帰にこだわっているが、何より大事なのはユニホームを着てファンの前でプレーすること。プロ入団時から見守り、1999年には、あうんの呼吸とも言える合図で「敬遠球サヨナラ打」を演出した恩師は、コロナ禍で多大な経済的ダメージを受けた独立リーグの救世主に新庄氏を指名した。

 50歳目前での新庄氏の現役復帰は虎時代の打撃の師匠も「驚いた」と話す。「目立ちたがり屋の彼らしいというかね。阪神時代から『宇宙人』とかいろいろ言われてたけど、野球に関してはストイック。脚力をどこまで戻せるかが難しいかなと思うけど、どうなることやら…だよね」と、その動向を気にしている。

 その上で「ひとまず今年は、独立リーグで現役復帰でもいいんじゃない?」と言う。北海道初となる独立リーグからのオファーを断ったことを明かし、あくまで今季中のNPB復帰にこだわりを示した新庄氏に向けた助言だ。

 NPBの開幕はコロナ禍の影響で今年は早くても約3か月遅れとなる見込み。各球団とも自軍戦力の分析さえ完了しておらず、追加加入の選手を検討する段階にまで至っていない。一方の独立リーグはコロナ禍により収益等で多大なダメージを負っており、経営的にもV字回復への“起爆剤”は多くのチームが欲しいところ。華のある新庄氏の存在は、そんな独立リーグのチームにこそうってつけで、日本ハムのプロスカウトなど編成職も歴任した柏原氏も「彼の良さというかキャラクターは今、独立リーグにこそ必要」と力説する。

「彼自身の今回の動機には『単にプレーしたくなった』というものではなく『もう一度、自分の価値を知りたくなった、試したくなった』というものがあると思う。だったら、なおさら独立リーグの方が今の価値をダイレクトに知ることができると思う。自分がそのチームのユニホームを着ることで、チームにどれだけのスポンサーがつくか、どれだけお客さんが増えたのか?とかね。彼がどこかのチームに行けばマスコミも取材に押しかけるだろうし…」

 新庄氏は米球界から2004年に日本球界復帰の際、本拠地を北海道に移転させて間もない日本ハムを移籍先に選び、06年には移転後初の日本一に貢献。プレーだけでなくかぶり物でのシートノックや、時には地上50メートルの高さから宙づりで登場するなどエンターテイナーとしても話題を振りまき、多くの道産子ファンを呼び込み北海道に多大な経済効果をもたらした“実績”もある。

 最短6月19日開幕を目指すNPBの後を追い、いずれ独立リーグも開幕を迎えるはず。球界がコロナ禍に沈みそうな今こそ、プロ野球の裾野でもある独立リーグから盛り上げてほしい――。そんな期待も含まれている師匠の提言は愛弟子の新庄氏に届くか。