広島のドラフト1位・森下暢仁投手(22=明大)がプロ初勝利を挙げた。28日の中日戦(ナゴヤドーム)に先発した右腕は初回からこの日最速の153キロをマークするなどエンジン全開の投球でゼロ行進。3回一死満塁の窮地では大島の放った打球を遊撃・田中広と二塁・菊池涼の〝タナキクコンビ〟が華麗な連携で併殺を奪うなど奮闘するルーキーをもり立てた。

 デビュー戦となった21日のDeNA戦(横浜)では7回無失点ながら、チームは逆転負け。初勝利はお預けとなっていたが、この日は「野手の皆さんが『絶対勝つ』と強い思いで打ってくれた」(森下)と堂林、ピレラ、田中広に一発が飛び出すなど打線も強力に援護した。完封を目指した9回のマウンドでは3点を奪われ、あと一死のところで無念の降板。それでも136球の力投でのプロ初白星を「終わり方は悪いが、勝ててほっとしている」と喜んだ。

 投手としての能力は折り紙付きだ。キャンプから森下を見守り助言を送るエースの大瀬良が「僕の新人のころとは比べものにならないくらいすごいですよ」と目を丸くするほど直球の威力や変化球のキレなどはすでに一級品の領域だという。また、佐々岡監督が「動きにセンスを感じる」と言うように投球以外のプレーも完璧。この日も2回にきっちり犠打を決めるなど新人らしからぬ、そつのなさを発揮している。

「新人王を取ることが目標。1勝に満足せず、これからも勝てるようにやっていきたい」という森下。すでにV奪還に向けて欠かせないピースになっている。