17日ぶりの職場復帰だ。虫垂炎の手術で離脱していた巨人・元木大介ヘッドコーチ(48)が2日の阪神戦(甲子園)からベンチ入りした。試合は1―4で敗れたが、さっそく「くせ者」らしさ全開の分析力を発揮。一方で気になるのは、すっかりスリムになった元木ヘッドの体調だ。異変を察知しながらかなりの期間にわたって我慢していたとの見方もある。限界までギブアップしなかった理由とは――。

 またしてもヒネられた。7回まで西勇に無得点に封じられ、反撃は8回に飛び出したウィーラーの9号ソロのみ。これで今季は西勇に4戦3敗。原監督も「同じような風景が多いね。対西君の時は。やられたらやり返さないとね」と語るしかなかった。

 この日からベンチ入りした元木ヘッドは「もうちょっと冷静に戦わないと。よう西がマウンドでしゃべったりしているからさ。あれでやっぱり(巨人の)選手がカッカカッカしちゃうんじゃないの? リズムが合ってなかったね」と〝くせ者目線〟で敗因を分析。とはいえ、このままでは終われない。こちらも指揮官と同じく「やられたらやり返す。倍返しだ」と大人気ドラマのフレーズでリベンジを宣言した。

 ただ、気になるのは元木ヘッドの体調だ。退院後に初めて東京ドームを訪れた際には、主砲・岡本も「細くなって痩せてましたし、声も出てなかったし、大丈夫かな…」と心配したほど。久しぶりに報道陣の前に登場した元木ヘッドは、確かにスリムになった印象だった。もっとも、体調を問われると「(聞くのが)遅いよ、お前ら!」といつもの調子でツッコミを入れてバスに乗り込んだが…。

 持ち前の明るさはそのままだが、元木ヘッドが腹痛を訴えたのは9月16日の午前中。虫垂炎と診断されて午後には東京都内の病院で手術を受け、そのまま入院となった。しかし、球団関係者によると、元木ヘッドはそれ以前から体調に異変を感じていたという。

「その前の名古屋遠征中ぐらいだったかな。ヘッドの中でも、何かおかしいと思うことがあったのかもしれない。珍しく『ユンケルくれ~』なんて言っていたようだ。今思えば、あの時からすでにどこかつらかったのかもしれない。結果的にユンケルで治るものではなかったけど、大事に至らなくて本当に良かった」

 名古屋遠征は帰京日も含めて9月8日から11日までで、元木ヘッドは実に10日前後も我慢していたことになる。前出の関係者は「ヘッドコーチとして、現場に穴をあけられないという責任感だったのではないか」と推測した。

 当時、チームは13連戦の真っただ中。順調に白星を重ねていたが、ヘッド不在という非常事態となれば、流れを断ちかねないと無理をしてしまったのか。現場に姿を見せてから試合前の恒例だったノックもまだ行っておらず、本調子とは言い難い。順調に回復することを祈るばかりだ。