人気シンガー・ソングライターの槇原敬之容疑者(本名・範之=50)が覚せい剤取締法違反などの疑いで警視庁組織犯罪対策5課に13日逮捕された事件で、芸能界やテレビ各局に激震が走った。本紙は1月20日発行の1面で「ミリオン歌手 薬物内偵中 シャブSM疑惑」と報じており、この歌手こそ槇原容疑者だった。逮捕劇の裏には、2018年に逮捕・起訴された“パートナー”の存在があるが、なぜその時点で“マッキー”も逮捕されなかったのか。取材を進めると“アッキー”の存在が見え隠れしてきた――。

 逮捕容疑は2018年3月30日、東京・港区のマンション一室で指定薬物の亜硝酸イソブチルを含む液体64・2ミリリットルを所持、同年4月11日には同じ部屋で覚醒剤0・083グラムを所持した疑い。前者は危険ドラッグ「ラッシュ」にあたり、医薬品医療機器法違反の疑いが持たれている。

 このマンションには当時、槇原容疑者とともに、所属していた芸能事務所の関係者で“パートナー”の男性(43)が住んでいた。男性は同年3月16日と30日に覚醒剤を所持したなどとして起訴され、有罪判決を受けた。警視庁はその後の捜査で槇原容疑者も関与した疑いが強いと判断し、13日午後4時44分、自宅で逮捕した。組対5課は認否を明らかにしていない。

 槇原容疑者は1999年8月に覚せい剤取締法違反容疑で現行犯逮捕され、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。事務所関係者の男性も、槇原容疑者とともに覚醒剤を所持したなどとして逮捕されている。

 捜査関係者は「18年3月30日と4月11日にブツがあることを確認し、この男性に『誰のものか』と聞いたところ『マッキーのもの』と供述した。その後慎重に捜査を進め、槇原のものである疑いが強まり、逮捕に至りました」と説明している。

 本紙もその捜査の過程から槇原容疑者が内偵されているとの情報をキャッチ。1月20日発行の1面で「自ら歌うだけではなく、作詞作曲も手掛け、希代のヒットメーカーとして知られる」と記したのは槇原容疑者のことだ。さらにシャブ(覚醒剤)を使用したのは「制作に行き詰まったからではなく、性行為時の激しい快楽にふけるため」という芸能関係者からの証言を紹介している。

 また内偵中、ゴミの中から拘束具やムチなどSMグッズが出てきたことから「シャブでキメたうえでSM行為にふけっていた」可能性を指摘した。この時に警視庁は、覚醒剤などの証拠も握ったようだ。

「東スポが報じて、(自分のことだと思って)焦った槇原が証拠隠滅する恐れがあったため、警視庁が逮捕に踏み切った可能性がある」とは薬物事情に詳しい関係者。

 だが、疑問なのは18年にこの男性が、覚醒剤を「マッキーのもの」と供述したにもかかわらず、警察が槇原容疑者に尿検査などを行っていないことだ。沢尻エリカ被告が違法薬物事件で逮捕されたとき、共同所持の疑いでファッションデザイナーの男性が逮捕されたのとは大違いである(男性は不起訴処分)。

 その理由について「安倍晋三首相の昭恵夫人への忖度が警察側にあったのではないか」と意外な指摘をするのは永田町関係者だ。

「18年3月と言えば、森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざんで国会が紛糾していたころ。その渦中に昭恵夫人がいたのは周知の通りです。同夫人は、あちこちで槇原の代表曲『世界に一つだけの花』を絶賛しています。こんな時に槇原が逮捕されれば、バツが悪かったのは間違いない」

 昨年4月、新元号が令和に決まった際、安倍首相は記者会見の中で「平成時代のヒット曲に『世界に一つだけの花』という歌があった」と同曲を引き合いに出したが、同関係者によると昭恵夫人の助言によるものだという。2年前と違い、今なら逮捕しても安倍政権への影響はないだろう。つまり“マッキー”問題は“アッキー”問題だった可能性があるというわけだ。

「数年前、シャブ疑惑のあった有名ミュージシャンが直前になって逮捕を免れたことがありました。それはある案件で某省から表彰されたから。逮捕すればメンツを潰しますからね」(同)

 くしくもこの日は、覚せい剤取締法違反(所持、使用)などの罪に問われた田代まさし被告の初公判が行われたばかり。有名人の薬物事件はどこまで続くのか――。