ギネスアニメも45年ぶりに再放送となる。フジテレビは10日、日曜夜の長寿アニメ「サザエさん」(フジテレビ系、午後6時30分~)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、17日放送分から新作放送を休止すると発表した。過去に放送された作品の再放送で対応する。

「サザエさん」は原作者・故長谷川町子さんの4コマ漫画をオチやつかみに使い、脚本家が毎回新作を書くスタイルで1969年から放送開始。新作が放送できないのは、オイルショック時の75年以来2度目。2013年には「最も長く放送されているテレビアニメ」としてギネス世界記録に認定されている。

 アニメ制作関係者は、今回の発表に「アニメ制作現場では声優を集めて行うアフレコが“3密”として止まっている。遮音のため密閉されたレコーディングスタジオに複数人で長時間いるのはまずい。作画についても海外発注が多く、コロナによって滞っている作品は少なくない。『サザエさん』も例外ではなかったということ」と明かす。

 すでに同じ長寿アニメ「ちびまる子ちゃん」も今月3日から、過去人気だった原作エピソードの再放送を開始。他にも新作放送延期となった作品が多数出ている。

 声優やアニメーターのなかにも感染者が出ているというが、リモートでアフレコ対応はできないものなのか?

「声優が全員レコーディング機材を持っているわけではないし、持っていても同じ音質で録音するのは難しい。作画についても国内ではデジタル作画に移行していないアニメーターの方も少なくない。どうしても人と人の接触を避けられないのが実情です」(同)

 4月クールで制作、放送予定だった作品が延期されることで、それをいつ放送するかという問題も。だが、前出の関係者は「季節を意識しているアニメは多く、全スケジュールを後ろに動かせばいいという単純なものではない」と指摘する。アニメ業界もコロナで窮地に追い込まれている。