制度のはざまで苦しんでいた人たちに朗報だ。大阪府の吉村洋文知事は14日、府の休業要請支援金の対象外となっている中小企業などに対し、新たな支援制度を打ち出した。

 府では新型コロナウイルスの感染拡大による休業に応じ、深刻な影響を受けている事業者に対して、12日から支援金を給付しているが、「本社が大阪府にあること」という条件があり、支援の対象外となる事例が続出。本紙でも、アイドルグループ「イースターガールズ」「仮面女子候補生WEST」らが出演する大阪・ミナミの常設劇場「仮面女子シアター」が対象外になっていると報じた。

 この日、吉村知事は「本店が府外にあり、協力金の対象外になった事業者のみなさんがいると聞いていた。そうした方を完璧ではないが、お支えしたい。売り上げが50%以上減になっている企業はすべて対象としたい。企業の形態や範囲は問わず、売り上げのダメージを受けているところについては独自に支援したい。スピード感を大切にして進めたい」と説明。議会の承認を経て、今月中の申請受け付け、6月中の支給を目指すという。

 この発表に、仮面女子シアターを運営するアリスプロジェクトの長山真也氏は「SNSなどで多くの方々に支援いただき、行政まで届いてよかった。吉村知事には、素早く血の通った政策をしていただいて、うれしいのひと言です。劇場やタレントを守る大きな助けとなります」と喜んだ。

 大阪府では新型コロナに伴う休業要請解除の独自基準「大阪モデル」が7日連続で達成となった。感染防止対策を講じた上で、16日からは幅広い業種で休業要請が解除されるが、ナイトクラブなどの接待を伴う飲食店やライブハウス、カラオケボックス、性風俗店などは見送られた。

 長山氏は「形としてはライブハウスですし、クラスターとか感染者を出すと責任が取れないので、行政の指針に従うしかないですね」と休業が続くことには納得の様子。「知事も文化の復興に努めたいというようなことをおっしゃってくれてますし、早く再開できることを期待しています」と語った。