迷走する“カンムリワシ2世”はどこへ向かうのか――。

 2018年4月のWBC世界フライ級タイトルマッチで前日計量をパスできずに王座を剥奪された上、試合にも敗戦。無期限資格停止処分(昨年10月に解除)を受けていた比嘉大吾(24=白井・具志堅)が再起戦となるノンタイトル8回戦(13日)でジェイソン・ブエナオブラ(25=フィリピン)に6回2分25秒でTKO勝ちした。

 計量で失格するまでは15連続KO勝利の日本タイ記録に並んでいた比嘉が約1年10か月ぶりのリングに上がるということで、後楽園ホールは立ち見も出る盛況。だが「1ラウンドの前半で疲れた」と話した通り、相手を攻めあぐね、2回にはアッパーを効かされる場面もあった。最後は右ボディーでダウンを奪うと、再開後の猛ラッシュでレフェリーストップに追い込んだものの、パンチにかつての切れや破壊力は見られなかった。

 控室に戻った比嘉は「世界王者になると夢見て東京に来た18歳のときのような闘争心もない気がするし、倒し方もわからない。(ボクシングを)やる理由がわからないし、モチベーションもない」と複雑な心境を吐露。それでもリングに上がった理由については「2年前のことがあっても離れなかった個人スポンサーもいるし、応援してくれた人がいた」と説明したが、ジムや具志堅用高会長(64)への感謝の言葉は口にしていない。

 まったく意欲がないうえ、前代未聞の失態から復帰のお膳立てをしてくれた当事者に筋を通せないようでは、この先は厳しいのかもしれない。