故ジャイアント馬場さんをルーツとする2団体のエースが、それぞれを意識しつつ2020年の飛躍を誓った。

 16日、都内のホテルで東京スポーツ新聞社制定「2019年度プロレス大賞授賞式」が行われ、殊勲賞を受賞した3冠ヘビー級王者・宮原健斗は相変わらずのナルシシストぶりを発揮しながら「大会場進出」を公言。2年連続で敢闘賞を獲得したノアの若きエース・清宮海斗は、団体の看板を背負う者同士として宮原との「切磋琢磨」を誓った。

 宮原はどこまでも宮原だった。清宮とはこの日が初対面となったが「いやあ、すがすがしい青年ですね。僕が23歳の時はもっとひねくれていました」と率直な感想を述べ「ルーツは同じ団体かもしれないけど、年も離れているし意識はしてない。僕が興味あるのは宮原健斗だけ」と相変わらずの自己陶酔的セリフを吐いた。

 受賞ムードに浮かれていないのは臨戦態勢に入った証拠だ。2月11日後楽園では青柳優馬とのV10戦に臨む。ここで勝てば公言していた川田利明の3冠最多防衛記録に並び、早ければシリーズ最終戦の3月23日後楽園で約15年ぶりに記録更新の可能性も出てくる。

「僕がV11で止まるわけがない。通算防衛記録(故三沢光晴さんの21回。宮原は現在19回)更新も狙ってますから」と目を輝かせる。

 さらには「昨年は後楽園が一番大きい会場だった。今年は両国国技館や日本武道館クラスの会場に進出したい。それと映画出演。あとは…MVPしかないっしょ!」とかなりハードルの高い目標を掲げた。

 対する清宮は礼儀正しい好青年らしい姿勢を貫いた。3冠王者については「普通の人間と違う地平を目指しているという点は、共通しているのかなと思う。団体の最底値を経験してから、上へ再び引っ張り上げたというところはシンパシーを感じるし、お互いに競い合えれば」と先輩王者に対して率直な印象を語る。

 防衛ロードを歩む宮原とは対照的に、1月4日後楽園で潮崎豪に敗れGHCヘビー級王座V7に失敗。それでも清宮の目に失望の色はカケラもなかった。

「昨年3月に新生ノアになってから1年間、団体を新たなステージに上げ続けた自負がある。僕、入門してからたった5年間で、会社が2度も倒産同様の状態になってるんですよ(苦笑)。もうこれ以下はないという最低の状態からここまで来ましたから。今年は武道館、さらには東京ドームを目指したい」

 あくまで貪欲に防衛街道を突き進む宮原。王座を失いながらも自由の大海原へ出航した清宮。今年も両団体のエースはそれぞれの信じた道を貫く。