全日本プロレス・秋山準(50)のDDTへのレンタル移籍が合意間近となった。早ければ今週末にも発表される見込み。5月からゲストコーチとして参戦したDDTの高木三四郎社長(50)が、その指導力と影響力を評価して全日本の福田剛紀社長に打診した。急転直下で“王道継承者”の移籍が実現すれば、マット界に大きなインパクトを与えそうだ。

 秋山は5月9日にDDTゲストコーチ就任が発表され、以降のテレビマッチに定期参戦。自身の経験を踏まえた「教えるのに一番いいのは実際にやりながら伝えること」とのポリシーのもと、実際に戦うことでDDTの若手に自らの“王道”を注入してきた。

 さらに、その姿に触発された若きエース・竹下幸之介(25)から対戦を要求され、秋山をリーダーとした新ユニットと竹下率いる「オールアウト」の対抗戦も始まりつつある。そうした状況を見た高木社長がレンタルでの移籍を打診した。「秋山さんが試合に出ることで、若手の大きな成長を感じました。それに加えて竹下など主力選手にも刺激になっている。そこで『これからはゲストコーチではなく、一歩踏み込んだレンタル移籍という形で、うちで腰を据えてじっくりやってもらえないか』と秋山さん、福田社長にお願いしているところです」と話す。

 この打診に秋山も「それはもう、一選手として必要とされるところに行くだけですよ。高木さんが言ってくれていることなんで、その気持ちに応えたいと思っています」と前向き。ゲストコーチでの参戦により「全日本での役割は一段落した感じもあるし、新鮮なところは楽しいっていうのもある」と手応えをつかんでいただけに、誘いを断る理由はなかった。

 レンタル期間は年内とみられ、その期間はDDT所属選手扱いで、その後は完全移籍となる可能性もある。全日本とすれば“王道継承者”を放出する形になるが、福田社長は「一時代を築いていただいた貢献者ですので我々としては損失とも思えるんですが、一方でこの4か月、厳しい状況が続くマット界全体を活性化し盛り上げるのに力を発揮していただけるといい、とも思っています」と業界全体への影響を考慮し、受け入れる意向だ。「返答は本人の意思も確認してするつもりです」とも述べ、3者の合意は間近になっている。

 秋山は27日のDDT新宿フェイス大会にも名を連ねており、ここでレンタル移籍について何らかのアクションがあるだろう。秋山は「つくり上げるのはDDTの選手たち。俺はそのつくり上げるもののプラスになれればいいかなと思います」と語り、新天地での動きに注目が集まりそうだ。