新日本プロレスの永田裕志(51)が、野人・中西学(53)の引退試合(22日、東京・後楽園ホール)における壮大なテーマを設定した。苦楽をともにした第3世代の盟友は、野人の集大成ファイトを引き出すことを約束。そこにはオカダ・カズチカ(32)を筆頭とした今後の新日プロを背負うレスラーたちに“文化遺産”を残す狙いがある。

 永田は中西の引退試合で天山広吉(48)、小島聡(49)と第3世代カルテットを結成しオカダ、棚橋弘至(43)、飯伏幸太(37)、後藤洋央紀(40)組と8人タッグで対戦する。

 約27年間にわたり切磋琢磨してきた。2人のコンビで第39代IWGPタッグ王者にもなった。永田は「かつて中西学を『鉄人28号』として、俺は『正太郎君』としていろいろコントロールしたけど、今こそそれを最大限に生かしたい。頭脳を復活させて、大暴れしてもらおうと。やっぱり本人も悔いを残したくないだろうしね」と最後の共闘に腕をぶす。中西はジャーマンスープレックス解禁の野望を本紙に明かしている。「覚醒させれば、そういうことをできるかもしれない。特大☆中西ジャーマンもそうだし、豪快と言われるすべてのことをやってほしいね。集大成をすべて引き出したい」と、全力で後方支援するつもりだ。

 中西の引退試合を団体の歴史にとっても重要な一戦と位置づける。第3世代が主力として活躍した2000年代前半の新日プロは、格闘技ブームに押される形で迷走。永田や中西は総合格闘技にも参戦し、ジョシュ・バーネットやボブ・サップといった格闘家も新日プロのリングに上がった。

 永田は「『いつ何時、とんでもない挑戦者が来る時代』が、また来るかもしれない。今は平和だけど、俺らの時はとんでもないのが来たんだから」と回顧。その上で「その時のために中西学を体験してほしい。あんな奇想天外な動きする人は今後、現れないだろうから。こういう人間と戦っておけば、将来どんな敵が来ても安心だと。これからを背負っていく世代に知ってほしいね」と主張した。

「ホウキだろうが怪獣だろうが、なんでも手のひらに乗せて。怪獣の部類に入るかもしれないけど、宇宙生命体の突然変異みたいなものだから」と独特の表現で中西の存在感を示したミスターはプロレス界の未来のためにも、野人の完全燃焼をアシストする。