ノアのGHCナショナル王者・杉浦貴(49)が絶好調だ。自身が率いる杉浦軍と反体制派集団・金剛の全面対抗戦の配信を3日に、中嶋勝彦(32)を迎えてのV5戦の放送を9日に控える中で、“充実”の日々を送っているという。勢いづくベテラン王者は新型コロナウイルス感染拡大を受け、自軍の「セーフティーネット化構想」も口にした。

 世界を揺るがす新型コロナウイルスの脅威にさらされているのはマット界も同様。各選手それぞれ感染予防を徹底しながら工夫して練習に取り組むが、業界でもトップレベルに神経質になっているのが杉浦だ。拳王(35)率いる金剛との対抗戦とタイトル戦を控え、都内で練習を公開した際にはなんと防護服に身を包んでトレーニングを行う念の入れようだった。

 コロナ禍での生活を問われると「とにかく自粛。手洗い、うがいをこまめにしているし、買い物は3日に1回。とにかく誰にも会わない。練習はジムが閉まっているから道場に行ってるけど、それも他の選手がいない時間を見計らって一人でやってます。外出? 犬の散歩だけだね」。他人との接触を8割どころか9割5分カットしており、当然本拠地である夜の街にも全く繰り出しておらず「酒も全く飲んでない」。それだけに中嶋とのV5戦に向けては「おかげさまで体調的にはここ数年で一番と言っていいほど絶好調だから」と、防衛に絶対的な自信を示した。

 一方で杉浦軍の今後については「世の中がこういう状態になって仕事で困っている人がいて、レスラーもそれは例外じゃない。戦う場所がなくなってしまったレスラーの“受け皿”として機能できたらいいよね。うちに来れば戦いの場はあるわけだから」と杉浦軍がマット界のセーフティーネットとなる構想を温めている。コロナ禍で職場のなくなったレスラーに一時的な戦場を提供しようというわけだ。

 人員の補充が杉浦軍にとって急務という事情もある。メンバーの一員だった“野獣”藤田和之(49)が、いつも以上に音信不通なのだ。3月29日に潮﨑豪(38)のGHCヘビー級王座に挑戦し、31分無接触でにらみ合った末に敗戦。それから連絡が取れていないそうで「まあ、藤田君に関しては“一時解雇”です。あんな試合をしたんで」と事実上の戦力外。金剛との抗争がさらに激化すると予想されるため、その穴を埋められるに越したことはないのだ。

 今後もノアマットは杉浦を中心に回ることが確実。絶好調のベテランにますます注目だ。