【イリノイ州シカゴ24日(日本時間25日)発】WWEのPPV大会「サバイバー・シリーズ」が開催され、3大ブランド対抗女子5対5マッチで“暗黒の逸女”紫雷イオ(29=NXT)が圧巻の存在感を見せつけて、自軍に奇跡の勝利を呼び込んだ。

 WWE3大ブランドの全面対抗戦となった大会の第1試合でスマックダウン(SD)、ロウ、NXTの女子トップ勢15選手が集結。まずチームSD(サーシャ・バンクス、カーメラ、デイナ・ブルック、レイシー・エバンス、ニッキー・クロス)がゴージャスに登場した。

 続けて女王様シャーロット・フレアーをキャプテンとするチーム・ロウ(シャーロット、ナタリア、アスカ、カイリ・セイン、サラ・ローガン)がリングイン。女王様を先頭に2列で登場したロウ女子軍は、まるでラグビー日本代表のような結束感に満ちていた。最後尾は日本が世界に誇るカブキ・ウォリアーズ(アスカ&カイリ)だ。

 ラストは下克上の十字架を背負ったチームNXT(リア・リプリー、紫雷イオ、ビアンカ・ブレア、トニー・ストーム、キャンディス・レラエ)が、意を決した表情でリングに歩を進めた。イオはいつも以上に黒を強調したメークを施しており、不退転の決意がうかがえた。

 先発はレイシー、サラ、そして日本でもおなじみのトニー。NXT・UK女子王者のトニーは、何と眉山ばりに2人を一度に投げるジャーマンでいきなり場内を沸かせた。

 そしてわずか2分過ぎにイオとカイリの元盟友対決が実現した。カーメラを排除するや、イオがフライングメイヤーから低空ドロップキック、変型バスターで先輩の意地を見せる。空気が読めないデイナがムーンサルトで2人を場外に落としてしまうが、代わったアスカがシェイナに飛びつきアームバーを決め、日本人女子がいきなり大舞台の主役を奪ってみせた。

 だが5分過ぎ、想定外のアクシデントが起きてしまう。サーシャ1人をリング上に残して14人がリング下に転落すると、イオとキャンディスが場外で正面衝突。頭部を強打して動けなくなったのだ。2人は一時ドクターチェックを受けるため、バックステージへ戻る。NXT軍は数的劣勢に立たされた。

 ここから試合が一気に動く。シャーロットがナチュラルセレクションでカーメラを脱落させると、一気にカイリが攻勢に出てトニーとのライバル対決を再現する。海賊姫は必殺のインセインエルボーを決めるも、フォールに入ったカイリの顔面にサーシャがカウンターのメテオラ一撃。無念にもカイリは17分過ぎに脱落となった。

 ここで姉御のように奮起したのが女帝アスカだ。デイナをスピンキックでKOすると妹分のウサを晴らす。闘志に火がついたアスカはそのまま敵軍を一気に蹴散らしたものの、興奮状態が思わぬ展開を呼んでしまう。

 誤爆をキッカケにシャーロットがアスカに突っかかる。ベテランのナタリアが間に入ってなだめると、何とアスカはシャーロットにグリーンミストを噴射したのだ。高貴なる女王様の美しい顔面は、下世話な東金のミスターの銅像のように緑色になってしまった…。

 このスキをエバンスが見逃さずにすかさずロールアップしてシャーロットが脱落。怒ったアスカはサッサとバックステージへ帰ってしまう。それでも1人残されたベテランのナタリアが奮起。エバンスにシャープシューター(サソリ固め)を決めると、サーシャが顔面をバンクステートメントで絞め上げる豪華な競演でNXT女子軍をリア1人にしてしまった。

 しかしすぐさまサーシャが裏切ってナタリアを丸め込む。リング上はSD女子軍のサーシャ、NXT女子軍のリアの2人となった。すぐさまサーシャは再度のステートメントでリアを絞め上げて勝負を決めにかかった。

 ここで大どんでん返しが起きる。ドクターチェックを受けていたイオとキャンディスが猛ダッシュで復帰したのだ。試合権はないため2人はリング下からリアの足を引っ張って、強引にエスケープさせた。

 さらにキャンディスがレフェリーの気をそらす間に、イオがサーシャへスワンダイブ式ミサイルキック一撃。好アシストを受けたリアが、サーシャにリップタイド(変型バスター)を決めて大殊勲の3カウントを奪った。

 28分の大激闘を制したNXT女子軍はしてやったりの表情でステージを占拠。日本人選手の大奮闘でWWE女子の勢力分布図が大きく塗り替えられた。