【フロリダ州オーランド15日(日本時間16日)発】WWEのロウ大会が行われ、前夜の「バックラッシュ」で“毒蛇”ランディ・オートン(40)に激闘の末、KOされた“R指定の男”エッジ(46)が「上腕三頭筋負傷」により、手術を受けたことが発表された。現在は自宅療養中。全治期間などについての詳細発表はなかった。

 発表を受けたオートンは「これでエッジは終わった。俺は彼を倒して家族の元に戻すという任務を遂行した。もし復帰するなら…また9年を要するだろうな」と不敵な笑みを浮かべた。

 ここでエッジの幼なじみで盟友のクリスチャン(46)が登場。エッジは2週間前のロウ大会で激励を受け、前夜の激闘ではクリスチャンの必殺技アンプリティアー(キルスイッチ)を出している。「人の不幸を笑っているお前は最低の男だ。エッジはまだ終わってはいないぜ」と盟友を援護した。

 ここで毒蛇が悪魔のような笑みを浮かべ「なあ、クリスチャン。お前、エッジのことを心配してるふりをしてるけど、俺と試合がしたいだけなんだろ?」と挑発、何と2014年に引退したクリスチャンに復帰を迫ったのだ。脳振とうなどを理由に引退したクリスチャンに、試合の許可が下りるはずもない。

 オートンは「非公認試合でいい。タイムリミットは今夜だ。お前が臆病者なら受けなくてもいい」と冷酷に言い放つとリングを去った。

 控室に戻ったクリスチャンは頭を抱えてしまう。第3試合後にはステージから「やってやる!」と試合を受諾したものの、不安は隠せない、メイン前には“狂乱の貴公子”こと元NWA世界ヘビー級王者のリック・フレアー(71)が訪れ「クリスチャン、今の君には無理だ。やめたほうがいい」と説得。殿堂入りも果たしたレジェンドの言葉にも、クリスチャンは「リック、ありがとう。でも俺は戦わなければならないんだ」と背中を向けて決戦へ向かった。

 そして両雄がメインのリングへ。無許可試合とはいえ、約6年ぶりの復帰戦となるクリスチャンは、明らかに緊張している。そしてゴングが鳴った直後、まさかの展開が訪れた。フレアーがリングインして「ノー、ノー。この試合は認められない」と改めて中止を要請したのだ。しかしクリスチャンは聞く耳を持たない。

 説得は不可能と悟ったフレアーはリング下へ…と思われたが、何とクリスチャンの背後に回ると、現役当時のような巧みな急所打ち一撃。クリスチャンは前のめりに倒れて悶絶してしまった。力づくで試合を止めようとしたのだろう。

 一瞬、ためらったオートンだが、勇気を持ってリングに上がった尊敬する先輩を葬るため、鬼になりきった。ロープに走るや昨夜エッジを葬ったパントキック(サッカーボールキック)一撃。クリスチャンはそのまま失神してしまう。毒蛇は割れ物を扱うように丁寧に体を裏返して3カウント奪取。オートンは救急隊が駆けつける前に、自らクリスチャンの首をゆっくりと正しい位置に戻し、両足を揃え「テイク・ケア!」と叫んだ。

 表情全体に言いようのない悲しみを浮かべたオートンはクリスチャンの頭を優しくなでながら「申し訳ない、クリスチャン。本当に申し訳ない…。だがここは俺の戦場だ。そしてこれは君が望んだ結果だ。君自身のせいなんだ」と、うっすら目に涙すら浮かべながらささやき続けた。

 クリスチャン、そしてエッジの容体も気になるが、再びレジェンドを破壊し続けるオートンの心的苦痛も計り知れない冷酷で無慈悲だった毒蛇
はこれからどこへ向かうのか――。

 またWWE王者ドリュー・マッキンタイア(35)は、24/7王者Rトゥルース(48)と組んで、昨夜の王座戦敗退を不服とするボビー・ラシュリー(43)、MVP(46)組とタッグマッチによる変則王座戦(挑戦者組が勝てば王座奪取)に臨んだ。

 王者は開始早々にラシュリーにラリアートからグラスゴー・キス(顔面への頭突き)を叩き込んで猛ダッシュ。途中、Rトゥルースが集中砲火を浴びるも、王者はラシュリーを豪快なフロントスープレックスで放り投げる。そしてMVPへ強烈なクレイモア(ランニング式シングルドロップキック)一撃。しかし王者はカウント1で体を上げ、コーナーのRトゥルースにコーナーから飛ぶように指示する。24/7王者に花を持たせようというわけだ。

 指示通りにRトゥルースはフロッグスプラッシュ一撃。3カウントを奪い歓喜の雄たけびを上げた。貫禄に加えて余裕すら出てきたマッキンタイア。次期挑戦者は未定だが、盤石の強さを発揮し始めてきた。